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「地デジ」で太る総務官僚OBたち

●天下り団体はゴロゴロある

 国が旗を振る2011年7月の地上波放送の完全デジタル化まで3年を切った。テレビでは北京五輪と絡めて地デジ移行を繰り返すCMを連日放送。総務省も2000億円以上ともいわれる必要経費の検討に入った。

 しかし、世帯普及率はいまだ43.3%(6月)にとどまり、1兆円超とされる民放負担も重い。それなのになぜ「地デジ、地デジ」と煽るのかと思ったら、コッソリと甘い汁を吸おうともくろむ連中がいた。天下り官僚たちだ。

「郵政」などの著書がある元特定郵便局長の世川行介氏の調査によると、地デジ化推進の背景には、総務官僚OBらが天下り理事として名を連ねる複数の財団の存在がある。

 例えば、地デジ計画と並行して設立された「電波産業会」は国から2年間で約400億円もの補助金が交付されている。しかも、官僚OBの専務理事の年収は1700万円にも上るのだ。

 地デジに関する技術、規格などを一手に握る「デジタル放送推進協会」の官僚OBも月収140万円と破格。ほかにも、出張規定で「鉄道はグリーン車」としていたり、年収2000万円前後の官僚OBがいたりする地デジ関連法人がゴロゴロあるのだ。

 世川氏は、こんな地デジ利権に群がる連中を「デジタル・マフィア」と呼んでいるが、彼らは地デジ移行がスムーズにいかないと、計算通りフトコロが潤わないのだ。

 総務省は生活保護世帯への地デジ専用チューナーの無償配布などで500億円程度かかるとみているが、こうした天下り団体をなくせば、費用なんてすぐに捻出できる。

(日刊ゲンダイ2008年8月18日掲載)


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