日本パラリンピック委員会は二十日、北京パラリンピックの日本代表選手百五十七人を発表した。兵庫県但馬地域からもシッティングバレーボール女子の朝野久美さん(21)=新温泉町歌長=が代表選手十二人のうちの一人に選ばれた。
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パラリンピックへの出場を決めた朝野さん=21日、県新温泉土木事務所
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日本シッティングバレーボール協会からの一報は二十日昼ごろにあり、「とても驚いた」と朝野さん。一緒にいた家族から「良かったね」と声を掛けてもらったという。
シッティングバレーボールは、座ったままの状態で行う六人制バレーボール。ネットの高さは一・〇五メートル(女子)で、臀(でん)部(ぶ)が床から離れると反則になるなどのルールが定められている。日本代表はパラリンピック初出場。
朝野さんは、中学三年の時、病気のため左足を失った。入院生活は一年半に及び、「走るのが好きだったので、走れないのがつらかった」と振り返る。
転機が訪れたのは昨年三月だった。県立総合リハビリテーションセンター(神戸市)の理学療法士に誘われ、シッティングバレーボールチーム「兵庫LSC」(神戸市)に参加。中学時代にバレーボール部に所属していたこともあり、「“これは”というスポーツに出会えた」と思った。
但馬唯一のメンバー。県新温泉土木事務所に勤務する傍ら、片道三時間かけて練習に参加する。“早く判断して早く動く”ことを心掛け、リベロなどのポジションで各種大会にも出場、競技経験一年余りで代表入りを成し遂げた。同事務所の今井幸一副所長(57)は「勤務にもまじめに当たってくれている。ぜひ頑張ってほしい」とエールを送る。
朝野さんは「またバレーボールができる、という喜びもある。パラリンピックでの試合出場はないかもしれないけど、勝ちにこだわりたい」と意欲を示す。八月に神戸市で行われる強化合宿などを通じて北京行きに備える。