SF作家の筒井康隆さんが23日、新作「ビアンカ・オーバースタディ」の発表を記念して、挿絵を担当したイラストレーターのいとうのいぢさんとともに、東京・秋葉原の有隣堂書店ヨドバシAkiba店でサイン会を開いた。新作は筒井さん初のライトノベルと言われているが、筒井さんは「ジャンルとか気にしないで、若者を喜ばせたい。楽しんで読んでほしい」と相好を崩していた。
「ビアンカ・オーバースタディ」は絶世の美女で学生のビアンカ北町が、ウニの生殖研究のためにあやしげな実験を繰り返していくうちに、不思議な出来事が起こるというSFタッチの青春小説。8日に発売された文芸誌「ファウスト」7号(講談社)に1~3話が掲載された。イラストは筒井さんの希望で、「涼宮ハルヒの憂鬱」(谷川流、角川書店)で知られるいとうさんが手がけた。
サイン会に先立っていとうさんと会見した筒井さんは「『時をかける少女』は40年前に若者向けに書いた小説だったが、若者向けの娯楽小説というのは本質的には今も昔も変わっていない。今回は原点に戻ってきた感じ」と満足そう。気になる4話以降については「構想している。ビアンカの妹で、『ハルヒ』の朝比奈みくるのような可愛い女の子が登場するので、絶対楽しいはず」と期待を持たせた。筒井さんの大ファンだといういとうさんは「オファーをもらったときは信じられなかったが、パワーにあふれた原稿を読ませてもらって楽しく仕事が出来た。いつもとは違うイラストになっているので注目してほしい」と話していた。
また、会見にはビアンカのコスプレをした女優のゆうき梨菜さんも登場し華を添えた。【渡辺圭】
2008年8月23日