野球3位決定戦(23日、日本4−8米国、五ケ松球場)闘将、惨敗−。日本は米国に4−8で逆転負けを喫して4位となり、2大会連続の銅メダル獲得は成らなかった。メダルを逃したのは2000年シドニー大会以来で、全員プロ選手で臨んでからは初という屈辱に星野仙一監督(61)は全面謝罪。選手はモロさをさらけ出し、采配(さいはい)は疑問の連続。なぜ−。指揮官が自らの言葉で4勝5敗に終わった北京の悪夢を振り返った。日本代表は24日に帰国する。
終わったね。今までの人生でいろんなことがあった。悔しかったり、喜んだり、怒ったり…。でも泣くに泣けないという心境が初めてわかった。61歳にして、こんな経験をするとはね。 申し訳ない。お金を払って球場に足を運んでくれたファン、日本でテレビを見てくれていたファン。何より子どもたちを失望させてしまった原因は、すべてオレにある。全面協力してくれた球界の関係者にも頭を下げんと。熱い思いをぶつけようと思っても、できなかった。世界で日本の野球に恥をかかせてしまった。それがオレの最大の罪やと思っている。 なぜG・G・佐藤(西武)を選んだ? みんなはそう思うやろ。オレはずっと若い選手の奮起を促してきた。そのなかで、アイツはペナントレースで数字を出して応えてくれた。みんなには理解できないだろうが、ものすごくうれしかった。 村田(横浜)もしかり。チームは最下位。モチベーションを維持できないなかで30本塁打。こんなヤツを連れていかなくて、誰を呼ぶんやと思った。でも結果的には…。 サブロー(ロッテ)や井端(中日)を選んでおけば、こんなことにはならなかったかもしれん。最後まで悩んだ。どうしても、できんかった。あれだけ「盲目的になるな」と自分自身に言い聞かせたのにね。オレという人間の弱さがモロに出た大会やった。 仲良し内閣。負けたら、こう批判されるのは覚悟していた。勝って「仲良しで何が悪い!!」と反論したかったけど、何も言い返せない。それが勝負の世界やから…。 今思うと、浮かれとったんかな。金メダルを取って、選手に腕時計を贈りたいと思っていた。国産品や。「メード・イン・ジャパン」って刻印されているヤツをね。われわれもファンも、野球そのものも「メード・イン・ジャパン」でしょ。これからもずっと。だから、象徴として頑張った選手に時計をプレゼントしたかったんやけど。 喜ぶ顔を励みにして、ここまでやってきた。ビックリさせたろうと思っていた。甘かったんやろうね。それどころか、何も首に巻けない最悪の結果になった。 “敗者”のオレが今さら言うても、何の説得力もないことはわかっとる。でもG.Gだって、村田だって、こんなモンやない。これから新たなステージで日本の野球のすばらしさを見せてくれると信じている。「お前が言うな」。そういう批判を承知しながら、声を大にして言いたい。 北京で5敗もしたという現実は、時間をおけば、明確に振り返ることはできるんやろうね。今はゆっくりしたい、ひとりになりたい−。そういうところかな。06年WBCで日本代表を率いて優勝したソフトバンク・王貞治監督の話
「残念だった。準決勝からは被本塁打が多かった。見ている人もみんな期待していたと思うが、選手たちは一生懸命やった。とにかくよく頑張った。どっちが勝ってもおかしくない試合ばかり。持ち味を出したチームが勝ったということだと思う」