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拉致再調査「秋までに終了」 日朝合意、制裁一部解除へ

2008年8月13日12時22分

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写真北朝鮮との合意について、中国・瀋陽のホテルで発表する斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長(中央)=13日未明、玉川写す

 【瀋陽=玉川透、牧野愛博】中国・瀋陽で開かれていた日本と北朝鮮の外務省実務者による公式協議は13日未明、北朝鮮が拉致被害者の再調査のための委員会を早期に立ち上げ、今秋の調査完了をめざすことで合意した。委員会発足を受け、日本政府は人的往来と航空チャーター便の乗り入れの制裁を解除する。

 再調査の具体的な進め方で一致したことを日本側は一定の前進と受け止めているが、拉致被害者の発見・帰国に結びつくかは予断を許さない。

 協議には、日本から斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が出席。日本側の説明によると、調査対象にはこれまで日本政府が認定した被害者のほか、行方不明者を含むすべての拉致被害者が含まれる。調査委員会には相応の権限を与え、調査の進展状況を日本側に随時報告することや、関係者への面談や関係場所への訪問などを通じて日本側が調査結果を確認できるようにすることでも合意した。

 日航機「よど号」乗っ取り事件関係者の帰国や、人道物資輸送のための万景峰号など北朝鮮籍船の入港については今回合意に至らなかった。

 複数の日本政府関係者によれば、合意に至るまでには中山拉致問題担当相が慎重な判断を求めた。最終的に福田首相の判断を仰ぎ、首相は「慎重に注意しながら進めてくれ。また、生存者が発見できるように全力を尽くすように」と指示したという。

 斎木氏は協議後、記者団に「調査委を一日も早く立ち上げ、被害者の帰国につながることを切に願っている」と述べた。宋大使は「(日本が)合意を破ったり、合意内容と違う方向に行ったりすれば、すべて壊れることになる」と語った。

 「権限を与えられた北朝鮮の調査委」が、どこまで真相を追及できるか定かではない。また、北朝鮮政府当局者は朝日新聞の取材に「再調査の結果が出れば、後は日本側がどう受け取るかの問題」と述べ、どのような結果が出ても、今回で拉致問題を最終決着させる考えを示した。

      ◇

 中山拉致問題担当相は13日、今回の日朝合意について、「(北朝鮮が従来の主張を)白紙に戻し、もう一度調べ直すということであれば、生存者が見つかる可能性は十分ある。新しい局面が開ける可能性はある」と記者団に述べ、前向きに評価した。一方で中山氏は、制裁の一部解除には北朝鮮の出方を慎重に見極める必要があるとの考えを強調した。

      ◇

 ■今回の日朝合意の骨子

 【北朝鮮側の措置】

 1、拉致被害者に関する全面的な再調査の実施

 2、権限を持つ調査委員会を新設。調査はできるだけ今年秋までに終了

 3、調査の進展状況を随時、日本側に連絡

 4、日本側による関係者への面談、関係資料の共有、関係場所への訪問に協力

 【日本側の措置】

 調査委の立ち上げに並行して、人的往来、航空チャーター便の規制を緩和

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