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【奧運(オリンピック).com】(7)「特別管制下」の民主化と人権 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:五輪とメディア
どう見ても子供たちの親にはみえない鋭い目つきの男が数人いた。そのうちのひとりがビデオで記者(野口)をしつこく撮影する。さらに、記者が乗った車を2台で尾行してきた。こうした目に何度も遭った。
四川省大地震の被災地の綿竹市。校舎が倒壊し児童120人余りが死亡した富新第2小学校などで取材していたときのことだ。
地震で倒壊または損壊した校舎は約6900棟にのぼり、全体の死者数のうち児童は1割近くに上るとみられている。そして、1000人弱が今も見つからないとされる。
「校舎は手抜き工事だった。天災じゃなく人災だ」と、子供たちの無念をはらしたい遺族らは叫ぶ。綿竹市だけではなく、各被災地で校舎の倒壊は“敏感”な問題になっている。遺族らによる告訴や提訴の動きが出ると、武装警察隊員や公安当局が学校を取り巻き、「特別管制」として封鎖する。監視下に置かれている父母もいる。
「電話も盗聴されている」。ある父母はこうささやいた。五輪を目前に控え、当局は、校舎の倒壊問題が「社会の不安定要因」として拡大する事態を防ぐ必要に迫られているからだ。
香港の人権団体は、綿陽市公安局が同市に住む西南科学技術大学の元教師、曽宏玲さん(56)を、国家政権転覆扇動罪の疑いで6月9日に拘束したと伝えた。倒壊した学校の手抜き工事などを告発する文章を、インターネットに掲載したためだ。