県議会の民主、社民系会派の改革21は22日、県の離島病院の規模縮小方針に対し、住民に不満があるとして白紙撤回を求める要望書を県に提出した。しかし、次期衆院選をにらんだ政治的アピールと見た県は「利用されたくない」と、受け取る場面を非公開に。改革21が金子原二郎知事との対決姿勢を強めていることも背景にあるようで、県の警戒が露骨になっている。【宮下正己】
県の方針は、県立2病院と離島医療圏組合9病院の運営を企業団に移行。このうち離島6病院は入院機能集約など診療所を念頭に事実上の規模縮小を目指す。
これに対し、改革21は五島など離島で同会派初の公聴会を実施し、住民への説明や理解が不十分なまま計画が進められていると反発。この日は要望書提出を事前にマスコミに周知したうえで県庁を訪れたが、県は公開を拒否した。
その後、改革21の会見に同席した県担当者は、県は先の県議会で企業団移行後に各病院のあり方を白紙検討するよう方針を転換しており、今回の要望は解決済みとの認識で、「改革21のアピールに使われたくなかった」と本音をポロリ。改革21は「県民は方針転換を知らされていない」とその場でかみ付いたが、平行線で終わった。肝心の離島病院利用者の意向がどこにあるのかははっきりしないままだった。
〔長崎版〕
毎日新聞 2008年8月23日 地方版