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【2.0企業インタビュー】MyTube/Sea'sGardenの畠山寛之氏に聞く
2007年1月9日
うっかり録画予約を忘れたり、友人らがこぞって見ている番組なのに自分だけ見逃してしまい話題について行けないと感じたとき、皆さんはどうするだろうか? 以前ならDVDやビデオ化されるのを待ってレンタルビデオ店に走ったり、偶然録画している友人がいないか電話をかけまくる/メールで尋ねまわる、といった苦労をしたものだが、今はそんな願いを叶えてくれるサービス“YouTube”がある。
その米YouTube社が昨年10月、米Google(グーグル)社に買収されたのは昨年の重大ニュースのひとつに数えられる出来事だが、現在のところはサービス内容が大きく変化することなく、さまざまな動画がレーティング(評価)やタグ(キーワード)とともに世界各国のインターネットユーザーに届け続けている。
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“MyTube”のトップページ。ロゴはYouTubeをイメージさせるブラウン管(=Tube)を組み合わせたもので、右サイドには検索キーワードの新着および人気順を示すタグクラウドが表示されている |
しかし、YouTubeのサービスは一部日本語タグ/ファイル名が使える程度で、決して目的の動画を探しやすいとは言えない。そんな不便、不満に目を付けて目的の動画を見つけやすくしたサービスが(有)Sea'sGardenの“MyTube”(β版)だ。MyTubeは昨年12月初旬にリリースされた動画検索ポータルサービスで、芸能人などの名前やカテゴリーごとに分類されたインデックスから目的のサービスを見つけやすくしているほか、YouTube以外の動画共有サービスも参照可能で、視聴デバイスはパソコンだけでなく携帯電話機にも対応するのが特徴だ。今回は同社代表取締役社長の畠山寛之氏にメール取材の形でインタビューした。
●ケータイでもパソコンでも目的の動画が見つけ出せるポータルサイト
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CMカテゴリーのトップページ。動画の探し方としては、カテゴリー一覧から選択するかキーワードを入力して画像を探すのが便利だ。カテゴリーを選択すると新着動画もしくは人気動画(視聴回数が多い順)がサムネイル画像で表示される |
[――] 最初に、MyTube(β版)のサービスの全容を教えてください。
[畠山氏] 今年(インタビュー時点では2006年)話題になったYouTubeに代表される動画共有サイトで公開されているAPIなどを利用して、動画の検索およびカテゴライズを行なうことで、パソコン・携帯ユーザーになるべく簡単に目的の動画を見つけられるようにした動画検索サイトです。
[――] 動画のタグ付けやディレクトリー管理などはどのような手順で行なわれているのでしょうか?
[畠山氏] 基本的なタグは、大元の動画共有サイトで設定されたタグをAPIなどを使って取得し、利用しています。これはYouTubeだけでなく、ほかの動画共有サイトに対しても、順次対応していく予定です。
加えて、MyTubeの“お気に入り機能”では、ユーザーが自分で動画にタグを追加できるようにしていますので、利用者が増えればより検索精度を上げて、ユーザーが本当に見たい動画を複数の動画共有サイトから横断的に探すことができるようなパソコン・携帯向け動画検索サービスを提供できるようになると考えています。
[――] MyTubeの特徴として、リンク先の動画ファイルが削除された場合などに、MyTubeのインデックスのリンク情報も削除する“クリーニング機能”があるそうですが、この機能はどのように実装されているのでしょうか? リリース直後にいくつかの動画を参照してみたところ、中にはファイルサイズが0KBと表示されて、動画を参照できないものがありました。あれはクリーニングされる前の状態だったのでしょうか?
[畠山氏] クリーニング機能は、ほかの同様な動画検索サイトで見受けられるような、YouTube上で既に削除済みの動画へのリンクが残ってしまわないようにする機能です。単純なリンク切れではないのですが、機械的に判断させています。
昨今の著作権がらみの問題で、YouTube上の動画が削除されるケースも多々ありますので、MyTubeでも、そういった問題のある動画のリンク情報はすぐに削除しています。
なお、今現在では0KBが出ることはありませんが、まだまだプログラムには改善の余地が残されています。なるべくスムーズに、サービスが提供できるように、日々模索しています。
[――] 携帯電話機向けサービスについても詳細をお教えください。
[畠山氏] ユーザーが携帯電話機から専用サイト(http://my-tube.mobi/)にアクセスして、動画の視聴をリクエストすると、サーバー側で動画データの取得と、そのユーザーの端末に合わせた変換処理が始まります。処理が終わり次第、ユーザーの端末に動画をダウンロードできるようになり、ユーザーはダウンロードした動画を再生してご覧いただけるという仕組みです。
●少ないコスト/マシンパワーでサービスを提供する点に苦心
[――] このMyTubeというサービスはいつごろから計画して、開発を始めたのでしょうか。
[畠山氏] (2006年)10月上旬から企画・開発が始まりました。コアな部分は3人で開発していました。
[――] MyTubeを始めようとしたきっかけは?
[畠山氏] YouTubeが英語のページでとっつきにくいのに、日本で流行っていること。また、APIを公開しているため、比較的短期間で何かできそうだ、ということから決断しました。
[――] 現状ではテキスト広告が数ヵ所に入っていることを確認していますが、継続的にサービスを提供し続けるためのビジネスモデル/プランについて、お教えください。
[畠山氏] 現在のところ、固まってはいません。さまざまな収益モデルの情報を集めている最中です。
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動画を視聴するところ。YouTubeで登録されている情報(投稿日や動画の再生時間など)のほか、ユーザーのブログに貼り付けるためのボタンやURL、関連する動画、およびWikipediaなどインターネット上の事典/辞書サービスで検索する関連キーワードへのリンク、関連するブログ記事などが表示される。また、1月9日時点では“工事中”とあるが、関連するニュース記事の検索、および関連商品へのリンクも今後は用意されるようだ |
[――] 開発にあたって特に難しかったことや、現状ではまだ実現していないものの、今後実現させたいことはありますか。
[畠山氏] 動画の変換処理が発生するため、サーバー側のマシンパワーが必要なのですが、なるべく物理的なコストはかけずにシステム構築を行ないたかったので、この点には工夫が必要でした。
それから携帯電話機向けサービスでは、キャリアーや機種による機能の違いが多すぎて、いまだにすべての端末に対応しきれていないので、できるだけ早く対応したいと思っています。
なお、近日中に実装予定の機能としては、パソコン版でユーザー登録するとパソコンと携帯の双方で“お気に入り”の共有が可能になるほか、GoogleVideoなどの動画共有サイトに対する一括検索機能をテスト公開する予定です。
(編集部 佐久間康仁)
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