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空室率上昇 都心オフィス街に異変

臨海地区で不振

 活況を呈していたオフィスビル市場に陰りが見え始めた。都心の空室率が、6月まで3か月連続で「警戒水域」とされる3%台をつけ、さらに上昇基調にあるためだ。背景には、世界的な景気の減速で、国内外の企業が都心のオフィス拡大を手控えたり、縮小に入っている事情がある。大手不動産会社は強気な賃料設定を崩していないが、景気の先行き次第では、オフィス市況の潮目が変わる可能性もありそうだ。

 不動産仲介の三鬼商事が10日発表した6月末の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は、前月末より0・2ポイント高い3・49%と、5か月連続で上昇した。

 首都圏は昨秋以降、郊外を中心にマンションの売れ行きが鈍る一方、都心のオフィス需要は高まっていた。空室率は2006年10月末から今年3月末まで約1年半も2%台に収まっていた。

 不動産業界では、3%がオフィスビルの需要が減り始める分岐点と言われる。特に振るわないのが、新築の大型ビルだ。6月末で9・23%と、1年前に比べ5・8ポイントも悪化した。

 中でも、臨海地区などで不振が目立つ。中央区晴海に今年2月に完成した大規模ビル(11階建て)は、6月末の稼働率が50%を切ったままだ。千代田区のオフィスビル(8階建て)でも、6フロアが未契約で埋まらず完成を迎えたケースがある。

 都心の新築ビル需要を支えてきたIT(情報技術)企業などで業績に息切れがみられる例もみられ、渋谷区の地元不動産業者は「テナントが埋まるのに募集から1年以上かかるビルもある」と話す。(香取直武)

2008年7月11日 読売新聞)
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