五所川原市の公立金木病院(小野裕明院長代理)で今年6月、肝硬変で入院した西北五地域の70代女性患者が薬を誤投与されて意識不明となり、半月後に亡くなる医療事故が起きていたことが22日分かった。同日、小野院長代理と石戸谷鏡治事務局長が記者会見し「薬の誤投与と死因の因果関係は特定できていないものの、あってはならない医療事故を起こし、遺族に対して心よりおわび申し上げます」と陳謝、事故の経過と再発防止に向けたチェック態勢を説明した。
 同病院によると患者は6月13日、内科に入院。患者の腹水を体外に出すため利尿剤の「アルマトール」を投与すべきところを、誤って血糖値を下げる糖尿病治療薬の「アマリール」を20日夜から22日朝まで計4回投与した。患者は22日夜に容体が急変、意識不明になったという。
 事故を受けて病院側は27日、院内に事故調査委員会を組織するとともに、患者の家族に薬の誤投与について説明、謝罪した。また五所川原保健所に報告し、28日には五所川原警察署に通報した。
 患者は末期の肝硬変による肝不全で7月8日夜、亡くなった。
 事故原因は処方せんを作成する際、医師の書いた処方内容に基づき病院職員が薬名を検索、本来「アルマトール」とするべきところを、名前の似ていた「アマリール」を誤って選び出して印刷。薬局に渡す際にも医師、看護師が内容を確認しておらず、ミスが重なって発生した。
 同病院では再発防止策として、先月14日から処方せんの内容を必ず医師が確認。さらに看護師もカルテなどで薬の名前が処方せんの内容と一致しているか、確認してから薬局に提出、また出された薬が一致しているか、確認してから入院患者に渡す―などのチェック態勢を取っている。
 ほか、名称が似ている薬については効用が同じ別の薬に変更したという。