お盆をふるさとで過ごされた方も多かったと思います。若者の帰省に合わせ成人式を行う地域もあるようで、同窓会もこの時期の“風物詩”かもしれません。
先週、わが中学校の同窓会も開かれました。卒業以来四半世紀ぶりに再会する旧友や、その変わり様(よくも悪くも)に「誰?」なんて人もいて大いに盛り上がりました。
仕事や家族を持ち、あのころとは大違い。それでも「おまえ、○○さん好きじゃったな」の一言でみんな十代に。とてつもなく輝いていたり、ほろ苦かった思い出は、それぞれの大切な宝物です。
先月十九日付で紙齢四万五千号を迎えた本紙ですが、同日付特集でシンガー・ソングライター、アンジェラ・アキさんにふるさとへの思いを寄せていただきました。
日本人の父と米国人の母を持つ彼女。多感な中学三年間を過ごした岡山では疎外感を覚え、楽しいばかりの日々ではなかったそうです。それでも今ではその苦い思い出でさえも恋しさがあふれてくる―それが「ふるさと」であり、「心が帰るところ」だとつづってくれました。
トンボを追いかけた野原、みんなで遊んだあの神社…心に刻まれたあの時間は永遠です。それでも、過疎化や少子化で母校がなくなり、合併で名前が消えてしまった地域もあります。だからこそ、懐かしい記憶を呼び覚ますふるさとの風景は守りたい、なんて思ったりして。ちょっと正義感の強かったあのころの自分に戻ったのは、旧友の笑顔に触れたせいでしょうか。 (文化家庭部・金居幹雄)