最 近 の 誤 認 逮 捕

 

 

 埼玉県警本庄署が06年に、職務質問を振り切って車で逃げた男と誤り、男の弟を公務執行妨害容疑で逮捕していたことが08年4月9日に判明した。弟は容疑を全面否認、同署は誤認逮捕に気づいたため、約8時間後に釈放した。という。 県警によると、05年8月14日未明、同県本庄市の公園で署員が不審な車を発見。乗っていた男(29)に職務質問したところ、男は弟(26)の名前を名乗り、直後に車を急発進させて逃げたという。署員は車に引きずられるなどして約10日間のけがを負った。本庄署は翌06年1月に弟を見つけ逮捕したが、体の特徴が男と違っていたことなどから、釈放した。男は07年2月に別の強盗事件で群馬県警に逮捕された。その後、本庄署が男を調べたところ05年の公務執行妨害容疑を認めたため、08年3月、さいたま地検熊谷支部に書類送検した。

 

☆ 名古屋通り魔:逮捕の会社員釈放 「証拠、認められず」(08年6月20日)

 

 名古屋市中区の繁華街で女性が男に刃物で背中を刺されて重傷を負った事件で、名古屋地検は08年6月20日、殺人未遂、銃刀法違反容疑で逮捕された同市中区の男性会社員(32)を処分保留で釈放した。名古屋地検の飯倉立也次席検事は「起訴するに足る証拠関係が認められないので、処分を保留し、釈放した」とコメントしている。事件は3月24日午前3時5分ごろ、名古屋市中区新栄1の路上で発生した。歩いていた飲食店員の女性(36)=同市緑区=が、自転車で後ろから近づいてきた男に、背中をいきなり果物ナイフ(刃渡り9・5センチ)で突き刺され、全治1カ月の重傷を負った。愛知県警は現場付近の防犯カメラの映像を分析。男性に似た男が自転車に乗っている様子などが映っていたことなどから、5月30日、同容疑で逮捕した。男性は「やっていない」と一貫して否認していた。

 

 三重県警が22歳男性を誤認逮捕(07年4月24日)

 

 三重県警は07年4月26日、いなべ署が覚せい剤取締法違反容疑で、同県いなべ市の無職男性(22)を誤認逮捕していたと発表した。科学捜査研究所が、誤った鑑定結果をファクスで報告したのが原因。男性は4月24日に逮捕され、翌25日に釈放された。

 県警刑事企画課によると、男性は今月17日、同署から事情聴取を受けた際に、尿を任意で提出。科捜研が鑑定し、陰性という結果が出たにもかかわらず、科捜研の男性技官が「覚せい剤の含有を認める」とするファクスを誤っていなべ署に送信して、同署が男性を逮捕した。翌日になり、正式な鑑定書が届き、誤りが発覚した。

 

 うその被害届信じ岡山県警が誤認逮捕(07年3月19日)

 

岡山県警は07年3月22日、うその被害届を受けた倉敷署が19日に、恐喝容疑で岡山市の右翼団体構成員の無職男性(20)を誤認逮捕していたと発表した。県警は20日に男性を釈放。22日、虚偽告訴の疑いで、被害届を出した岡山県倉敷市の無職の容疑者(20)を逮捕した。

同容疑者は、16日に倉敷署を訪れ「右翼団体構成員の4人に現金25万円を恐喝された」とする虚偽の被害届を提出した疑い。なお、同容疑者は以前から、右翼団体に入るよう強要されて困っていると同署に相談しており、同署は恐喝の被害届も信頼性が高く、同容疑者に危険が及ぶ恐れもあると判断して、4人のうち岡山市内で発見した男性を逮捕した。

 

 静岡県警が誤認逮捕、16日後に釈放 発表は4カ月後(07年2月27日) 

 

静岡県警藤枝署が06年10月7日未明、藤枝市内で少年2人と一緒に藤枝市前島のビルの壁面やシャッターにスプレー塗料で落書きしたとして、同日午後、建造物損壊容疑で逮捕した藤枝市の建設作業員の男性(21)は誤認逮捕で、逮捕から16日後に釈放していた。07年2月27日、不当な拘束に対する補償金約21万円を支払うとする静岡地検の刑事補償の公示があり、報道機関からの問い合わせを受けて、県警が釈放から4カ月たって発表したもの。同署は、男性が容疑を否認したが、少年2人が「一緒にやった」などと供述したため、逮捕したが、その後の調べで、この男性にはアリバイがあり、現場にいなかったことが判明、少年2人もうそをついていたことを認めたため、逮捕から16日後の06年10月23日に釈放した。県警は、4カ月以上にわたって事実を公表しなかった点については「余罪を追及していた」と釈明した。

なお、男性は釈放から17分後、06年9月10日に元交際相手の女性を車に押し込みホテルで乱暴したとして監禁致傷・婦女暴行容疑で静岡県警焼津署に逮捕されたが、その後、この女性との示談が成立するなどしたため、再び釈放されていた。

 

 福島県警が男性を誤認逮捕 落書き容疑で(07年2月04日)

 

 福島県警は07年2月4日、06年11月に同市中町の雑居ビル2階の踊り場にある分電盤に落書きをしたとして、07年1月27日に器物損壊容疑で郡山署に逮捕した同市内の自営業の男性(30)は、家族らと一緒にいたことが明らかになったことから誤認逮捕であったと発表、07年2月4日に釈放した。現場の防犯ビデオの映像が男性の容姿に酷似していたとして逮捕していた。

 なお、男性は逮捕当時、容疑をいったん認めたが、その後、否認に転じていた。

 

 津署が男性を誤認逮捕 2日間留置(07年1月16日)

 

津署に05年11月に、03年9月に津市新町3丁目のガソリンスタンドで現金約7万3000円を盗んだとして窃盗容疑で逮捕された住所不定、無職の男性(56)が逮捕翌日に釈放され、検察が「嫌疑なし」としていたことが07年1月16日、わかった。同署は「捜査が不十分だった。男性には申し訳ないと謝罪し、しかるべき対応をとる」としている。同署によると、津区検が07年1月10日付で、津署に留置された2日間について金銭(被疑者補償規定では、1日当たり最高1万2500円)で補償すると、男性に通知した。

逮捕のきっかけは、事件で男性の知人(47)を逮捕されたが、この知人が男性も犯行に関与したと供述したため、同署が逮捕状を取った。だが、男性の行方がわからず、執行できなかったところ、05年11月10日、津市江戸橋3丁目で、男性が被害者になった傷害事件が発生し、被害者として聴取を受ける中、逮捕状が出ていることが判明し、男性はそのまま逮捕された。しかし、その直後に「男性からいじめられていたので陥れてやろうと思った」と知人が供述を変え、翌11日に釈放された。

三重県警では06年11月にも、亀山市の男性を住居侵入容疑で誤認逮捕していたことが判明している。

 

 三重県警が住居侵入容疑で誤認逮捕発表(06年11月21日)

 

三重県警亀山署は06年11月21日、三重県亀山市の民家に侵入したとして、住居侵入容疑で06年4月に逮捕した容疑者(62)が、誤認逮捕だったと発表した。えん罪被害者となった容疑者は、24日午前10時45分ごろ、川崎町の自動車販売修理業の男性宅に男が侵入し逃走した事件で、110番で駆けつけた亀山署員が現場付近に車を止めていて、職務質問され逮捕された。えん罪被害者は一貫して否認し、22日間の拘留後に処分保留で釈放され、その後、嫌疑不十分で不起訴になっていたが、10月、兵庫県警から、別の住居侵入容疑で逮捕した無職男が犯行を自供しているとの連絡があり、再捜査の結果、誤認逮捕と判明した。同署は被害者家族らの証言や、逃走途中に男が残したリュックの中にあったパチンコ店の紙おしぼりが車からも見つかったことなどから逮捕したといっている。えん罪被害者は、「誤認逮捕で働けなくなり妻も30年勤めた仕事を辞めた。釈放後も世間から犯人扱いされ、人生すべてが変わってしまった」と話している。なお、三重県警刑事企画課は「目撃証言を過信した。再発防止に努める」としている。

 

☆ ひきげ誤認逮捕、塗装工を10か月拘置…警視庁謝罪(06年6月29日)

 

 05年6月27日未明、世田谷区内の交差点で乗用車を運転中、バイクと接触、新聞配達員の男性(26)に重傷を負わせて逃走するなどした疑いで、神奈川県相模原市の塗装工の男性(27)が、実際にひき逃げをした男の虚偽の証言によって警視庁に誤認逮捕されていた。同庁は06年6月29日、虚偽の証言をした乗用車の所有者の住所不定、無職の容疑者(21)を危険運転致傷、偽証などの容疑で逮捕した。

 塗装工の男性は道交法違反などの容疑で逮捕され、容疑を否認したが、起訴されて公判も始まっており、6月8日に釈放されるまで10か月間拘置されていた。警視庁と東京地検は06年6月28日、男性と面会して謝罪した。

 

☆ 京都五条署が誤認逮捕。「傷害の共犯」がうその供述信じ5日間拘束(06年4月26日)

 

 京都府警五条署は、05年8月5日深夜、中京区の木屋町通で車の通行をめぐってトラブルに巻き込まれた伏見区の自営業の男性(37)が、2人の男から暴行を受けて顔などに4週間のけがを負った事件で、06年4月11日に逮捕した男のうその供述を信用し裏付け捜査を十分に行わないまま、京都市左京区の男性会社員(22)を傷害事件の共犯として同月20日に逮捕し、5日間身柄を拘束していた。同署は06年4月26日、会社員が事件に関与しておらず、誤認逮捕だったとして25日夜に会社員を釈放し、謝罪した。

 会社員は当初から「身に覚えがない」と否認、25日になって別の男(21)が「現場にいたのは自分だ」と出頭し、先に逮捕していた容疑者が「(男は)親友で警察に売ることはできなかった」と虚偽の供述と認め、誤認逮捕と分かった。

 署長は「裏付けが十分でなかった。関係者の方に多大の心痛を与え、誠に遺憾に思う。今後は適正捜査に努め、再発防止を徹底したい」と話している。同署は、聞き込みや被害者への写真照会などの捜査をしたが、藤原容疑者の供述を主な根拠に会社員を逮捕してしまったとしている。

 同署は、車の目撃情報などから、傷害容疑で左京区一乗寺木ノ本町、会社員藤原博光容疑者(21)を逮捕。供述に基づき、知人の会社員を共犯の容疑者として逮捕した。

 

 押し脅迫事件で別人を誤認逮捕 神奈川県警、釈放し謝罪(06年3月10日)

 

06年2月14日夜、栄区の男性(38)が、路上で男2人に「殺すぞ」などと因縁を付けられ110番、駆け付けた栄署員が、現場にあった車のナンバーを控えた上で男2人から事情を聴き、脅迫の疑いで少年と、現場にあった車の所有者である厚木市の会社員を06年3月10日に逮捕した。だが、会社員は「当時は自宅にいた」と容疑を否認、少年も「車は借りただけ。一緒にいた男は会社員とは別人」と供述、誤認逮捕と分かったことから、逮捕当日に会社員を釈放した上で、3月17日、会社員に経緯を説明し謝罪した。

 

 埼玉県警http://www.zakzak.co.jp/pic/spacer.gif;日本人を旅券不携帯で逮捕…誤認逮捕相次ぐ(06年2月27日)

 

 埼玉県警川口署は06年2月27日、旅券不携帯の外国人として入管難民法違反容疑で逮捕した同県川口市の無職女性(28)が、その後の捜査で日本人と判明したため釈放した、と発表した。同署によると、女性がアジア系の外国人に見えたことや、ポルトガル語が書かれた封筒を持っていたことなどから、日本人ではないと判断したという。パトロール中の署員が25日午後7時40分ごろ、川口市内の路上で女性を見つけて職務質問。女性は当初「日本人です」と答えたが、さらに質問すると何も話さなくなったという。家族によると、女性は初対面の人と話すのが苦手だという。

 身元確認ができないため、26日午前5時すぎに逮捕状を取って逮捕。女性の母親(58)は当初、写真を見せても「知らない」と話していたが、その後「自分の子供だ」と証言したことから日本人と分かり、同日午後7時20分に釈放した。

 なお、埼玉県警では、05年5月に所沢署が「財布を奪われた」とのうそに基づいて男性会社員を逮捕したほか、東入間署が覚せい剤検査で陰性だった女性を判定ミスから逮捕。同年7月には、長女を殴ったとして、傷害容疑でアリバイのある会社員男性を逮捕し、それぞれ釈放するなど、誤認逮捕が相次いでいる。

 

☆ 警視庁;逮捕監禁事件めぐり20代男性を誤認逮捕(06年2月7日) 

 

警視庁玉川署は、05年5月19日午後9時ごろ、東京都豊島区の路上で、都内に住む男子大学生(当時20)が7時間にわたって車両内に監禁され、暴行を受けて全治10日間のけがを負ったほか、現金約11万円などを奪われた逮捕監禁・強盗致傷事件で、06年2月1日までに20代の男女計5人を逮捕監禁などの容疑で逮捕した。

だが、その後、事件に関与したとして別の男が出頭してきたため捜査を進めたところ、06年1月25日に逮捕した男性が犯行にかかわっていないことが判明した(警視庁発表06年2月7日)。

なお、男性は当初から容疑を否認したが、06年1月27日に送検され、処分保留で釈放されていた。 

 

☆ 茨城県警;痴漢で誤認逮捕、否認男性を2週間拘置(05年12月28日)

 

 05年12月1日午後4時20分ごろ、つくばエクスプレス守谷駅で、守谷市の県立高校3年の女子生徒(18)が、男にスカートをめくられた。この痴漢の顔を見た友人が同月6日、容姿の似た男性を駅で見つけ、取手署員に「犯人に間違いない」と伝えた。男性は「やっていない」と否認したが、茨城県警取手署は茨城県迷惑防止条例違反で、容疑県守谷市の専門学校生の男性(28)を逮捕、地検は起訴した。

だが、その後の調べで、男性が犯行時間帯に別の場所にいたことが判明、アリバイ証明され、誤認逮捕が明らかになった。

 

☆ 愛媛県警;今治署が少年を誤認逮捕(05年8月17日)

 

05年8月14日午後1時ごろ、愛媛県今治市内桜井地区の公園駐車場に止めていた軽乗用車の窓ガラスを割ってバッグを盗んだとして、目撃者の「似ている」などとの証言から今治署は05年8月14日同4時ごろ、西条市出身の男子大学生(20)と西条市の無職Aさん(19)の2人を緊急逮捕(窃盗容疑)したが、同市の別の少年(19)が翌日夕方出頭、「大学生と一緒に盗んだ」と供述したため、同署は同日朝、この少年を同容疑で逮捕、Aさんを16日午前零時半ごろ釈放した。同署は「結果的に誤認になり、申し訳なかった」としている。

 

☆ 滋賀県警、窃盗事件で37歳男性を誤認逮捕で署長が謝罪(05年6月9日)

 

 滋賀県警虎姫(とらひめ)署は、05年6月1日午後、同県湖北町のパチンコ店の客が、トイレに立ったすきにパチンコ台横の玉貸機からプリペイドカード(7000円相当)を盗んだとして、同県浅井町の板金工の男性(37)を窃盗容疑で誤認逮捕していたと、05年6月9日に発表し、和智義明署長が男性に「当事者に深くおわびします」と謝罪、「裏付け捜査が不十分だった」と認めた。男性は、盗む様子が映っていた防犯ビデオの姿に似ていると3日に店から警察に通報され、署員が男性を任意同行し、ビデオを見せたところ容疑を認めたとして3日に逮捕されたが、9日になって別の無職男(53)が容疑者と判明し窃盗容疑で逮捕された。男性は書類送検されたうえで不起訴となる見通しだが、「無実が証明され、一安心しているが、取り調べ中に足をけられるなどし、あざが残っている。担当刑事にも謝罪してほしい」と話している。

 なお男性は、署に連行され、「足を2、3度けられ、襟をつかまれて『お前がやった』と何度も言われた。自分の帽子で顔をたたかれた」うえ、トイレを我慢していたら、刑事に「しゃべったら行かせる」と言われ、「我慢できなくなって『やりました。すみません』と言った」と話している。

 滋賀県警は05年7月14日、滋賀県警虎姫署の捜査員が男性を取り調べる際、足をけるなどの暴行を加えていたとして、同署刑事課の警部補(33)を特別公務員暴行陵虐容疑で大津地検へ書類送検した。

 

☆ 埼玉県警;覚せい剤検査ミスで女性を誤認逮捕(05年5月23日)

 

 埼玉県警東入間署が覚せい剤検査の判定ミスから、同県富士見市の女性(42)を覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで誤認逮捕していたことが24日、分かった。女性の夫から22日夜、「(妻が)覚せい剤をやっている」と通報があったため、女性を任意同行して署内で尿を検査したところ、6つの検体のうち2つで反応があったとして、23日午前1時半ごろ逮捕した。しかし同日朝、科学捜査研究所で尿を鑑定した結果、陰性と判明ことから、同日午後2時すぎに釈放した。同署は「最初の検査の判定が不適切だった。逮捕する前に本鑑定をするべきだった」としている。

 

☆ うその強盗被害届で男性誤認逮捕、実は被害者 埼玉県警(05年5月5日)

 

 埼玉県警所沢署が、埼玉県所沢市の無職少女(18)の出したうその被害届に基づいて同市の会社員男性(58)を強盗容疑で緊急逮捕していたことが05年5月5日、分かった。同署は6日、狭山市の無職少年(18)を強盗致傷、所沢市の無職少女(18)を虚偽告訴の疑いで逮捕した。同署によると、少年と一緒にいた少女が、4日午後11時50分ごろ、「所沢市東狭山ケ丘2丁目の市道で、男に財布をひったくられた」と届け出たこいとから、5日午前0時ごろ署員が現場に駆けつけたところ、少女の証言に似た着衣の男性がおり、男性が少女の財布を持っていたため、同容疑で緊急逮捕した。しかし、少年が所沢市東狭山ケ丘2丁目の市道で、帰宅途中の男性を突き飛ばすなどして転倒させ現金約8万円入りの財布を奪った際、少女が自身の財布を落としたため、うその被害届を出してひったくりをごまかそうとした。

 

☆ 栃木の誤認逮捕・起訴 検察側が無罪論告、男性は釈放(05年2月25日)

 

宇都宮市内の無職男性(53)は、04年8月、女子中学生の首を絞めたとして暴行罪で逮捕・起訴され、その後、2件の強盗容疑で再逮捕されて、宇都宮地検から起訴され、初公判で起訴事実を認め、04年12月7日の公判で懲役7年の求刑を受けた。その後、強盗の犯人が他に存在することが判明、強盗の真犯人は別の男で、被告が犯行に関与していないことは明らになかたことから、05年2月25日の公判において検察官は「無罪を求める」(別の暴行罪について懲役8カ月を求刑)と論告を行った。弁護人は同地裁に拘留(こうりゅう)取り消しを請求し、男性は公判後に釈放された。判決は3月10日に言い渡される。

 

☆ 窃盗事件で誤認逮捕、福島県警郡山署、別の男が犯行供述(05年2月24日)

 

 福島県警郡山署が04年10月13日朝、同県郡山市内の駐車場の車から現金8200円が入った手提げバッグを盗まれたという110番があり、緊急配備中の警察官が手配の特徴と似ている男性を発見、被害者の証言などから同日午後、無職男性(36)を窃盗容疑で逮捕したが、同月27日に自動車を盗んだとして逮捕した無職の男(34)が、男性が逮捕された事件についても犯行を自供、郡山署は誤認逮捕して男性を同月28日午後に釈放したことが05年2月24日にわかった。なお、男性は15日間にわたって身柄を拘束されていた。していた。

 

☆ 愛媛県警が誤認逮捕 窃盗容疑、女性のアリバイ確認 (05年2月24日)

 

 愛媛県警捜査一課は05年2月24日、大洲署が窃盗容疑で逮捕した30代のパート女性のアリバイがあることが確認され、誤認逮捕だったと発表した。女性は既に釈放されている。同県警によると、パート女性は04年11月、愛媛県大洲市内のスーパーで、買い物客のカートの中から現金が入った手提げ袋を盗んだとして窃盗容疑で05年1月21日に逮捕された。しかし同署が勤務状況をパート先で確認したところアリバイが確認された。

 

☆ 高1男子を誤認逮捕、宮崎県警都城署が窃盗容疑で(05年1月25日)

 

 宮崎県都城市で05年1月25日正午ごろ、都城市内の農業男性(62)が帰宅した際、自宅から逃げる若い男を目撃、自宅から現金数万円が盗まれており、110番した。駆けつけた同署員が現場付近で目撃情報と服装が似た高校1年の男子生徒(当時16歳)を発見、職務質問で男子生徒が「自分でやった」と供述したため、住居侵入と窃盗の容疑で午後2時19分に緊急逮捕した。だが、現場の足跡と指紋も男子生徒のものと一致しなかったため、同署は午後7時50分に釈放した。じきょうしたことに関して男子生徒は、「認めれば自宅に帰してもらえると思った」として、その後容疑を全面否認に転じた。なお、05年4月に鹿児島県警が住居侵入、窃盗事件で逮捕した無職の男(22)がこの窃盗事件も自供しており、誤認逮捕は明白となった。

 なお、同署は誤認逮捕について県警に報告していなかった。

 

☆ 埼玉県警;19歳男性を誤認逮捕、7日間勾留(04年7月31日) 

 

 埼玉県警川越署が、川越市内に住む市立中学2年の少年(13)が出した虚偽の被害届に基づき、東北地方に住む男性(19)を04年7月末、恐喝容疑で逮捕し、7日間勾留(こうりゅう)していたことが分かった。少年は03年6月1日、父親からもらった映画代3,000円でゲームソフトを買ったことを隠すため、「顔見知りの男性に脅し取られた」とうそをつき、父親らと同署を訪れ「男性と見知らぬ男2人に3,200円を渡した」と被害届を出した。これを受けた同署は、物証はなかったが、3回にわたる少年の話に矛盾がなく、男性が少年の両親の知人だったことなどから、04年7月29日に逮捕した。

しかし、男性は一貫して否認。8月5日、少年に話を聴いたところ「うそをついていた。お父さんに本当のことが言えなかった」と明かした。同署は04年8月13日、この少年を軽犯罪法違反(虚偽申告)の非行事実で川越児童相談所に通告するとともに、男性と家族に謝罪した。 なお、同署長は「少年の申告に信憑(しんぴょう)性、具体性があり、虚偽と判断できなかった。共犯がいるという内容で、任意捜査では連絡される恐れがあるため逮捕した。結果として供述に頼りすぎた」と話している。

 

☆ 大阪府警;痴漢で誤認逮捕(03年7月25日)

 

03年7月25日午後9時半ごろ、近鉄喜志駅付近で隣に座っていた女性に手をつかまれ「この人は痴漢です」と訴えられて、大阪府迷惑防止条例違反の疑いで富田林署に逮捕され、8月15日に処分保留で釈放されるまで同署に勾留(こうりゅう)された府内の勤務医の男性(31)に対して、03年9月1日、羽曳野区検が不起訴処分(嫌疑不十分)にしていたことがわかった。

男性は、逮捕されたについて、男性は当初から容疑を否認、妊娠6カ月だった妻が7月30日に「目撃者を捜しています」と印刷したチラシを同駅前で配ったところ「眠っているように見えた女性が急に騒ぎはじめた。痴漢行為があれば気付いたと思う」などとする目撃者がその日のうちに2人現れ、同署で証言した。

なお、男性は「話せば分かると思って警察へ行ったが、『お前がやったのは明らかだ』と怒鳴られるばかりだった。少なくとも目撃者が現れた後の勾留は不当で悔しい」と話している。富田林署幹部は「女性の訴えに基づいて適正な捜査をしたと考えている」と話している。

 

大阪府警;誤認逮捕(03年5月29日)

 

 大阪府警交通捜査課と高速隊は03年5月29日、大阪府堺市で02年12月に起きたひき逃げ事件で逮捕した男性Aさん(47)が容疑者でなかったとして、新たに業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)容疑で住所不定、無職高春洙容疑者(51)を逮捕、Aさんを釈放したと発表した。高容疑者は乗用車を運転し02年12月29日午前、堺市の近畿自動車道で奈良県室生村の自営業男性(66)と妻(59)のトラックに追突し、2人に重傷を負わせ逃走した疑い。

高速隊が03年5月7日、乗用車を所有していたAさんを容疑者として逮捕したが、その後の取り調べで「車を貸した友人が事故を起こした」と供述。高容疑者を別の道路運送車両法違反容疑で23日に逮捕したところ、ひき逃げを供述したため24日に再逮捕し26日にAさんを釈放した。

 なお、大阪府警では02年9月にも大阪市の米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」に爆破予告があった事件で、無関係の男性を誤認逮捕し9日後に釈放している。爆破予告の直後にたまたま男性が「近所のけんかがうるさい」と110番。これを府警が爆破予告の110番と取り違え、発信元の特定を誤ったためだった。府警はその後、威力業務妨害容疑で中学3年の男子生徒を逮捕した。

 03年2月には大阪市西成区の重傷ひき逃げ事件で逮捕した男性を釈放。別の暴力団組員をあらためて逮捕した。その直後には道交法の対象外の「自転車歩行者専用道路」で、枚岡署が誤ってバイクなどの運転者に交通違反の反則切符を切っていた。

 

大阪府警;ひき逃げ事件で誤認逮捕

 

大阪府警交通捜査課は02年12月14日深夜、西成区南津守の交差点で乗用車とオートバイが衝突、オートバイを運転していた同区内の大学4年生(22)が左足の骨を折る重傷を負ったが、乗用車はそのまま逃走した事件で、西成署が道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕した大阪府堺市の塗装工の男性(29)が事故とは無関係とわかり、男性を釈放するとともに、山口組系暴力団員の容疑者(28)を同容疑で逮捕したと発表した(03年2月24日)。誤認逮捕について、同署は「男性に謝罪したい」としている。

 

京都府警;恐喝容疑で誤認逮捕

 

京都府警上鴨署が、03年1月23日、元交際相手の男性に計約70万円を脅し取られたとして被害届を同署に提出した女性の看護師の虚偽を見抜けず、2月14日、恐喝容疑で京都市内の無職の男性(41)を誤認逮捕していたことが03年2月17日に判明した。同署は逮捕していた京都市内の無職男性を釈放し、同日までに、刑法第172条の虚偽告訴などの疑いで看護師(23)を逮捕した。看護師は、勤務する病院の患者だった男性と知り合い、一時交際していたが、「100万円以上貢がされ、腹が立ったのでうそをついた」と認めている。なお、男性は「自分にも責任があり、反省している」と話している。

 

大阪府警:誤認逮捕で6日間にわたって勾留

 

大阪府警は02年9月7日、02年8月上旬、平野区内の女性(71)宅から預金通帳と印鑑を盗み、銀行口座から840万円を引き出した疑い(窃盗容疑)で9月2日に逮捕、6日間にわたって勾留(こうりゅうし、取り調べをしていた女性(55)が事件とは無関係だったとして、この女性を釈放するとともに謝罪した(9月9日発表)。その後の捜査で別の容疑者が「事業資金に困って、自分1人でやった」と話したことから誤認逮捕が発覚した。同容疑者のうその証言を同署がうのみにした誤認逮捕だった。

 

埼玉県警が誤認逮捕;少年を強盗傷害容疑で18日間拘置

 

埼玉県内の建設作業員の少年(18)は、01年4月10日午後11時前、同県川口市の路上で仲間数人の少年とともに別の少年を取り囲んで暴行、オートバイを奪ったとして、被害者の証言をもとに埼玉県警に5月15日に逮捕された。しかし、同少年は一貫して容疑を否認、携帯電話の通話記録などからアリバイが判明した6月1日になって釈放された(拘置は18日間に及んだ)

事件後、同県警は被害者の証言から、犯行を認めた3人の少年を特定し、強盗傷害容疑で逮捕、さらに、被害者が「10人ぐらいに囲まれた」と話したことから、3人を含むグループのリーダー的存在だった建設作業員の少年にも任意同行を求めが、その際、少年の顔を見た被害者が「間違いなく現場にいた」と証言したため、同県警は逮捕に踏み切った。だが、逮捕された仲間3人も自らの犯行は認めつつ、少年が現場にいた点は否定していた。

 

埼玉県警が誤認逮捕の少年 無罪にあたる不処分に 

埼玉県警東入間署は、00年3月、埼玉県三芳町の会社事務所からパソコンなどを盗んだ疑いで、事務所のドアから採取した指紋と保管されていた指紋と一致したことから、同年8月に川崎市内に住む18才の少年を逮捕、少年も容疑を認めた。だが少年は、送検後に容疑を否認した。しかし浦和地検川越支部は、20日間勾留(こうりゅう)を決定、浦和家裁川越支部に送致された。事件はその後、横浜家裁川崎支部に移送され、少年は保護観察処分となった。保護観察処分を受けた少年側は東京高裁に抗告して、県警の鑑定結果と異なる指紋鑑定書を提出、同高裁は00年12月、処分を取り消して横浜家裁川崎支部に差し戻していた。これに対して県警は01年1月25日、「2人の鑑定官がともに誤りを見逃した」(茅根勝・刑事部参事官)と、指紋鑑定を誤ったことを認め謝罪した。少年は01年2月1日成人の無罪にあたる不処分となった。  

 

 誘拐犯と間違えられた大学教授が警察官らを告訴(00年4月24日)

 

 横浜市の「小2男児児誘拐事件」で、逮捕された容疑者(37)がさくら銀行西宮支店西のATMから現金を引き出した00年4月24日午後3時45分ごろ、関学大の43歳の教授が、兵庫県警の捜査員に一時、犯人に間違えられ、機動捜査隊員ら5人らに支店の外へ出るよう求められた。教授によると、その際警察官に捜査員に無言で腕をとられ、引き倒されたうえに(「警察は腕をつかんだ際、バランスを崩してしりもちをついた」という)、捜査員から「『住所をいえ』『キャッシュカードはどこだ』などと質問を浴びせられ、写真を2回撮られた」という。

職務質問が始まって約5分後に、容疑者から新たに電話が入ったことから、教授は事件と無関係とわかり、職務質問はで打ち切られが、教授が抗議をしたため、警察官は捜査車両に教授を乗せ、西宮署まで同行した。そこで教授は、同署長から「『警察も一生懸命なので許してもらいたい』などと謝罪されたが、弁護士に連絡をとりたいという要望は拒否された」という。

教授は、「有無を言わさず犯人と決め付けたかのような不当な扱い」であり、「『警察の体質そのものを象徴的に示す事例』で、私に暴行した警察官を絶対に許すことはできない。おわびをして謝って済む問題ではなく、法廷という公の場で事実関係をはっきりさせたい」と、あえて特別公務員職権乱用、同暴行陵虐(りょうじょく)罪の容疑で刑事告訴に踏み切った。

これに対して兵庫県警は、神奈川県警から「黒っぽいジャンパー姿で身長170センチぐらい」という手配が来ており、教授が似た服装、身長だったと説明。また、容疑者が現金を引き出したATMの場所を間違えたのは、神奈川県警から当初、市役所内の出張所ではなく支店内で金が引き出されたと通報があったため、としている。

兵庫県警の西岡実機動捜査隊長は「重大事件であり職務質問をしなければならないケースで、問題はなかった。しかし、ご迷惑をかけた点は教授に心からおわび申し上げたい」と話している。

 誘拐事件の犯人逮捕率97%(身代金奪取→逃亡は皆無)=戦後における身代金目的誘拐事件は、00年4月25日現在231件(98件は小学以下の子供-103人-が被害)、うち224件(97%)は犯人が逮捕され、7件は、1987(昭和62)年の群馬県高崎市で幼稚園児が誘拐され殺害された事件を除いて時効が完成している。なお、身代金がいったん奪われた既遂は27件である。そのうちの1件は、1974(昭和49)年8月、俳優の津川雅彦さんと女優の朝丘雪路さん夫婦の長女(当時生後5カ月)が誘拐され、現金500万円が要求された事件で、29万円引き出されたが、犯人の男(当時23歳)は、その直後に逮捕された。⇒吉展ちゃん誘拐事件(付録『63の世相年』)

 

 

千葉県警が傷害容疑で男性を誤認逮捕(00年4月17日)⇒22時間後に釈放

 

l  千葉県警鉄道警察隊は00年4月18日夜、傷害の疑いで前日の17日夜に現行犯逮捕した無職男性(50)を、実際には犯行に関係なく誤認逮捕だったとして、逮捕から約22時間後に釈放した。

l  男性は、17日午後9時40分ごろ、千葉市中央区富士見2丁目の市道で、同市稲毛区の会社員女性(27)にいきなり殴りかかり胸に約10日間のけがをさせたとして、近くのJR千葉駅構内のコンビニエンスストア内で鉄警隊に傷害の疑いで現行犯逮捕された。女性と一緒にいた同僚の女性2人が男性を追跡し、鉄警隊に通報し、被害にあった女性らが「間違いない」と話したため逮捕した。

l  しかし男性は一貫して容疑を否認、また調べで被害者との供述に大きな食い違いが生まれた。

l  男性を釈放した理由⇒@同僚が犯人を追いかけている途中で、人込みに入った犯人を見失った可能性があるA男性が犯行時間帯に別の場所にいたとみられる。

l  だが、鉄警隊は「男性は住所不定、無職だったので逃がすことができないと判断した。当時の状況では逮捕は適当だったと考える」としている。                       

 

 

松山地検が窃盗、詐欺容疑で逮捕起訴の男性釈放(00年2月22日)==(誤認逮捕・誤認起訴)

 

 松山地検は99年2月に愛媛県警宇和島署が窃盗、詐欺などの疑いで逮捕し、同地検宇和島支部が起訴した男性(51)=同県北宇和郡=について、懲役刑を求刑しながら、別に容疑者が現れたとして判決日(2月25日)の4日前の2月21日、誤認逮捕、誤認起訴を認めて、1年間に及んだ男性の拘置を取り消し、釈放した(22日発表)。理由は、99年10月、高知県警に強盗致傷容疑で逮捕された男(60)=大阪市天王寺区=が、この事件についても自分の犯行であると供述したためである。だが、3日前、男性の父親は他界していた。 

事件は、1998年10月に愛媛県宇和島市内の民家から貯金通帳などが盗まれ、99年1月に50万円が引き出されるといったもの。愛媛県警宇和島署は、99年2月1日この男性を逮捕、取り調べ段階で容疑を認めた(わずか4時間で“うそ”の自供を行った。自白の強制が??)ため、松山地検宇和島支部は、松山地裁宇和島支部に起訴した。男性は、公判になって起訴事実を全面否認に転じたが、検察側は99年12月、男性に懲役2年6月を求刑していた。

しかし、

00年1月上旬、高知県警から別の事件で逮捕した容疑者が、この事件を自供したとの情報が愛媛県警を通じて入った仮にこれが同じ愛媛県警管轄内であったら、果たして真相は??闇から闇に葬られ、有罪判決が…???。驚愕した同地検が資料などを取り寄せて調べたところ高知県警が逮捕した容疑者の犯行の可能性が濃厚であるとの結論となり、同地検は判決日直前になり男性を釈放、異例の弁論の再開を松山地裁宇和島支部に申し入れた。

 一方、高知地検は男性が釈放された後の4月1日、同容疑者をこの事件に関し窃盗罪などで追起訴。この時点で、1つの事件で2つの公判が別々に進むという世にも不思議な異常事態が展開されることとなった。

男性の「自白」調書によると、男性は愛媛県宇和島市内の知り合いの女性宅から1998年10月上旬に貯金通帳を、12月下旬に印鑑をそれぞれ盗み、これを使って99年1月8日、同市内の金融機関から50万円を引き出し(この3カ月の時の経過は「犯行が発覚する危険が高い行為」であり、常識的には理解困難である)、「当日もしくは翌日」に、その金をもとに当時勤めていた会社からの前借り金と会社社長からの借金計20万円を返済したことになっている。県警は、男性のほかの使途などを加えると約50万円になり、引き出した金額とほぼ一致するとして、「金ほしさの犯行」と動機を特定した。

男性は99年2月に印鑑の窃盗罪だけで松山地裁宇和島支部に起訴されたが、初公判で否認。同年6月になって、盗んだ通帳などで金を引き出した詐欺罪など残りの罪で追起訴された。

だが、その後、

返済日の確認のため追起訴前に数回、会社を訪れた県警の捜査員に、男性が勤務していた会社の女性事務員(42)が、「返済は1月7日だった」と説明している。しかも、20万円のうち、会社からの前借り金12万円については1月7日付の「振替伝票」が残っていたので、それを見せた。捜査員は「本当に7日なのか。8日の間違いではないのか」と何度も確認したあと、振替伝票のコピーを持ち帰ったという。捜査段階での「盗んだ通帳で引き出した金で借金を返した」とされていた日(1月8日)が、実際は引き出しの前日(1月7日)だったことが明確だったのである。男性は98年末にボーナスと給与、年末調整で手取り70万円余りを受け取っており、比較的懐があたたかい状態だったのである。それでも松山地検宇和島支部は男性を詐欺罪で追起訴し、公判でも「男性が金に困っていたことに変わりはない」と強弁した。

その他、

@   金が引き出された金融機関の防犯ビデオに写っていた男の姿は不鮮明だし、男性が勤務していた会社の役員も「顔が違う」と証言した。

A   金融機関に残された払い戻し請求書の筆跡・筆圧鑑定でも男性が書いたと特定できていない。

B   昼休みに当時の勤務先から金融機関まで車で金をおろしに行ったというが、警察・検察が言う短時間では無理。 

 当初、

愛媛県警は、被害者宅に荒らされた様子がなかったことなどから、親しい人物の犯行との見方を強めて捜査。被害者宅のかぎを持ち、自由に出入りできた男性の見込みをつけ、逮捕した。だが、実際は、被害者宅へは施錠されていなかった2階の窓から侵入したという。愛媛県警の当初の「見こみ違い」が、誤認逮捕の一因になったのは明らか。しかも捜査当局が盗みの犯行日を約3カ月前と誤認していたことも明確になった。

 つまり、犯行を証明する物証は全くないばかりか、

警察や検察が描いた犯行を否定する資料さえあった。なのに!!!

謝罪は?

しかも愛媛県警と松山地検は3月22日に記者会見を開き、事実関係の概要を説明しただけで、男性本人に対する謝罪は、「司法の判断を待ってから」とし、4月以降の公判で男性の無罪が確定するまでは行わないとした。しかし、マスコミや世論の追求で、3月23日午後、県警穂積裕刑事部長が記者会見し、「男性には申し訳ない気持ちを持っている」と述べ、初めて謝罪の意思を表明したに過ぎない。また県警幹部はマスコミの質問に「自白偏重と言われれば、そういうことになるのかもしれない」とも答えた。

無罪判決を求める論告要旨(4月21日)

被告は捜査段階で自供し、その供述内容には秘密の暴露も含まれており、客観的事実を考慮して、起訴した。被告は否認に転じ、公判で無罪を主張した。その後、高知で別件で逮捕された男が本件犯行にも関与した可能性があることが分かり、高知県警は、愛媛県警に捜査情報を報告するとともに、男の本格的な取り調べを開始した。高知地検などが検討を重ねた結果、この男の犯行である疑いが強まり、松山地検宇和島支部は被告の拘置取り消しを請求した。高知で逮捕された男は高知地裁で開かれた公判で、本件犯行を全面的に認めている。以上の結果、現段階ではこの男が犯人であることが明白である。よって被告が本件に全く関与していないことは明らかであり、無罪の判決を求める。

松山地裁:無罪判決(5月26日)⇒判決要旨

松山地裁宇和島支部斎藤聡(あきら)裁判官5月26日、「同じ起訴事実により高知地裁で公判中の被告(61)は一貫して認めており、物的証拠もある」、一方松山地検は起訴した被告人については、「動機に乏しく、物的証拠もない」「男性が犯人であると認めることはできない」と断じ、松山地検の論告通り無罪を言い渡した。さらに、いったんは容疑を自供し、1年余り拘置されながら別の容疑者出現で潔白が証明されるという異例の経過をたどった事件について、「自白以外の証拠による裏づけを欠いた」「犯行を否認する弁解が警察官に信用してもらえないとのあきらめや、たとえウソでも自白さえすれば、家族や勤務先に迷惑をかけずに済むという思いからだった」と判断したうえで、借金返済という動機、貯金払い戻しの際の筆跡や防犯ビデオの映像といった物的証拠などについて、自白を裏付ける捜査が行われなかったと指摘し、捜査のあり方を厳しく批判した。

 

松山地検は同日中に上訴権放棄の手続きを取り、男性の無罪が確定した。

 

愛媛県警;「捜査に大きな誤りなかった」と処分せず (6月9日)

6月9日会見した愛媛県警監察官室は、「捜査に大きな誤りはなかった」として捜査関係者の処分を行わないことを明らかにした。4月21日に会見した八木和弘・愛媛県警首席監察官は「裏付けの面ではやや甘いところもあるが、処分に値する違法性や怠慢はなかった」と説明し、「結果として、誤逮捕事案を発生させたことは、遺憾に思っております」と述べるにとどまっていた。     

男性は捜査の違法性を指摘し、近く国家賠償請求訴訟を起こす意向で、男性の弁護人を務めた弁護士は「処分がないのは納得できない。国賠訴訟を視野に入れ、ミスを認めたくないための措置」と語っている。

 

   

埼玉県警18歳少年を誤認逮捕、拘束アリバイ判明し釈放00年2月18日

桶川市で女子大生が刺殺された事件をめぐる捜査がいいかげんだったのではないかと国会で問題となり、検証チームによる調査が続いている埼玉県警の浦和西署が、無職の少年(18)を、00年2月3日夜、塾から帰宅途中の中学3年生の男子生徒(14)を浦和市の小学校に連れ込んで脅し、わいせつな行為をした疑い(強制わいせつ容疑)で誤認逮捕していたことが、00年2月18日判明した。

少年は犯行を否認し、「岩槻市のカラオケ店にいた」とアリバイを主張したものの、アリバイがはっきりしないことや被害者側の情報(少年が犯人だと中学生が証言したこと)などから逮捕された。

だがその後、新たに浮かんだ20歳の別の男(被害者の中学生とは顔見知り)が犯行を認め、また被害者の中学生が「角本容疑者にも似ていた」と証言を変えたことから、同署は少年を釈放して男を容疑者として2月17日に逮捕した。

被害者の中学生の供述をうのみにしたための大失態であるが、無実の少年は16日間にわたって誤って拘置され続けたこととなった。

 

福岡県警誤認逮捕―99年12月1日

 

Ø  福岡県警監察官室は、99年12月1日、飯塚署が強姦の疑いで逮捕、送検した同県飯塚市の男性会社員(32)について、「誤認逮捕だったため、検察庁の指揮を受け、11月30日夜に釈放した」と発表した。

Ø  同県内の女性会社員の。同年9月17日、女性会社員(20)は交際中の男性と一緒に飯塚署を訪れ、「9月5日午前3時ごろ、同県嘉穂郡内のスーパー駐車場のワゴン車内で、男性会社員ら3人に強姦された」との告訴に基づいて11月29日男性会社員を逮捕した。

Ø  男性は容疑を否認していたが送検、その後この女性がうその告訴だったことを認めたため。県警は近く、この女性を虚偽申告の疑いで書類送検する。

 

高知南署、尿鑑定ミスで誤認逮捕 高知地裁・即日無罪判決―98年10月6日

 

 覚せい剤の密売事件を捜査していた高知県警高知南署は98年10月6日、高知市内の男性会社員の携帯電話が密売人との通話に使われたとして家宅捜索したが、注射器など覚せい剤の使用を裏付ける物的証拠は見つからなかった。しかし、男性の尿を高知県警科学捜査研究所が鑑定した結果、覚せい剤の陽性反応が出たとして同日、男性を逮捕した。

 逮捕された男性は携帯電話については、密売人にかけたとされる時期に別の男性に貸していたと一貫して無罪を主張した。

起訴後に県警科捜研が鑑定データを再判定した結果、覚せい剤が人体に入った時にできる代謝物質の成分のグラフが標準データと微妙にずれていることがわかった。ミスの原因は特定できないが、同年8月下旬から9月下旬にかけて高知県窪川町沖で見つかった大量の覚せい剤を同じ部屋で鑑定していたことから、これが分析装置に付着していた可能性もあるというずさんなのであった。

 記者会見した県警科学捜査研究所の長岡利博所長は「このような事態を起こしたことは大変遺憾であり、深くおわびする」と述べたが、晴れて無罪となった男性の怒りは消えず、「最初からきちんと捜査していれば、こんなことにならなかった。もある。警察には直接謝罪してほしい。私だけではなく周りにも迷惑がかかった。警察側の今後の対応によっては法的手段も考えたい」と話した。

その後高知県警は、99年2月18日覚せい剤取締法違反容疑で誤認逮捕した高知市内の男性(33)と、約459万円を支払うことで示談が成立したことを明らかにした。示談金の額は先例や同種のケースなどを参考に算定した模様。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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