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松坂、サイヤング賞の可能性は? ライバルたちは超強力

今季は大きな貯金を作っている松坂。しかし、それ以上の成績を残すライバルたちは多い。(写真提供:AP Images)

今季は大きな貯金を作っている松坂。しかし、それ以上の成績を残すライバルたちは多い。(写真提供:AP Images)

 ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手が、14日のテキサス・レンジャーズ戦で、今シーズン14勝目(2敗)を挙げた。5月下旬に故障者リスト(DL)入りした影響で下回っていた規定投球回も、まもなくクリアする見込みで、もし防御率2.74という数字をさらに良くすることができれば、サイヤング賞の候補になるのでは? と思うファンもいるかもしれない。20勝、もしくはそれに近い勝ち星、防御率2点台ということになれば、候補になってもおかしくない。

 しかし、米国のアナリストで、松坂をこのリーグ最高の投手に与えられる賞の候補としてリストアップする人物はほとんどいない。その理由として挙げられるのが、DL入りで休んだことと、制球難による四球が多く、今季21試合のうち、7回以上を投げたのがわずか6度(完投は0)しかないこと。「先発としてはいい投手だけど、すごいとは言えない」という声も多い。昨年、入札額と年俸を合わせ「1億ドルの男」と呼ばれたような期待度からすれば、こう言われても仕方ない部分がある。得票ポイントはもらえるだろうが、トップ3に入る可能性も低いと言わざるを得ない。

 今のところ、ア・リーグのサイヤング賞争いは、クリフ・リー(クリーブランド・インディアンス)が最有力だ。昨年、中地区を制したインディアンスが快進撃を続けていたとき、リーは屈辱のマイナー落ちを経験。今シーズン開幕前は、先発5番手に定着すれば、チームにとって御の字という状況だった。しかし今季のインディアンスは、エース左腕CC.サバシア(現ミルウォーキー・ブリュワーズ)は開幕直後から不振、ファウスト・カルモナとジェイク・ウェストブルックが故障で長期離脱。そんな投手陣をけん引したのが、左腕のリーだった。

 速球、カーブ、スライダー、チェンジアップを駆使し、打者にいい形でスイングさせないのがリーのピッチング。4月に登板した5試合すべてで勝ち星をマーク、防御率は0.96という驚異的な数字を残し、勢いに乗った。その後も快進撃は続き、初黒星を喫した5月18日のシンシナティ・レッズ戦を含め、自責点5を超えたのは、今季わずかに3試合だけ。

 8月15日には、リーグ最高勝率を誇るロサンゼルス・エンゼルスを相手に2失点完投という快投を見せ、17勝目。安定した投球が今後も続けば、22、23勝も夢でなく、防御率もここまでリーグトップの2.43と素晴らしい。170回2/3を投げて、与四球がわずか24と制球力も抜群。多くのアナリストが、ア・リーグのサイヤング賞はリーで決まりという見方を示している。

 リーのライバルになるとすれば、ボビー・シグペン(当時シカゴ・ホワイトソックス)が持つ、シーズン最多セーブ記録(57)の更新が期待されるフランシスコ・ロドリゲス(エンゼルス)、あるいはロイ・ハラデイ(トロント・ブルージェイズ)だろう。ロドリゲスは、ここまで47セーブを記録しており、西地区首位を快走するチームがよほどの不調に陥らない限り、新記録達成は確実。クローザーは、先発投手よりも低い評価を受ける傾向があるが、2003年のエリック・ガーニエ(当時ロサンゼルス・ドジャース、現ブリュワーズ)以来となる受賞もあり得る。

 一方、ブルージェイズのエース右腕ハラデイは2003年の受賞者で、3年連続の16勝以上は濃厚。今年の成績は14勝9敗、防御率2.64と、リーに比べると劣る。しかし、完投8回(うち完封が2回)は両リーグ最多であり、本格派でありながらも、191イニングで四球が32個とコントロールの素晴らしい投手である。ハラデイは注目度が低く、ファンからするとインパクトに少し欠けるかもしれない。しかし、残り1か月半で勝ち星と防御率でリーを上回ることになれば、2度目の受賞も十分にあるだろう。

 ナ・リーグについては、2年前の受賞者ブランドン・ウェブ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が最有力。18勝は現時点で両リーグNO.1、防御率2.85もナ・リーグ5位と、シーズンを通じて安定した投球を見せている。しかし、昨年ア・リーグでこの賞を獲得したサバシアにもチャンスがある。今シーズン、インディアンス時代の成績も合わせると13勝8敗、防御率3.04も、ブリュワーズ移籍後は8試合に先発し、2度の完封を含む完投4回の7勝負けなし、防御率が1.55と、試合を完全に支配する投球を続けている。

 7月7日に移籍したサバシアが、ナ・リーグでサイヤング賞を手にするには、残された登板で着実に勝たなければならない。今後の登板で5~6勝し、防御率が1点台だった場合、インパクトの強さという点でチャンスが出てくるだろう。もし、シーズン途中で他リーグのチームの移籍しながらの受賞となれば、84年のリック・サトクリフ以来となる。サトクリフはこの年、6月にインディアンスからシカゴ・カブスに移籍すると、新天地では20試合の登板で16勝1敗、防御率2.69という好成績を残し、サイヤング賞に選出されている。

※成績などは現地8月17日現在のもの

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順位表

ア・リーグ東部地区 8月21日

1. レイズ -
2. レッドソックス 4.5
3. ヤンキース 10.5
4. ブルージェイズ 11.5
5. オリオールズ 16.0

試合結果

アメリカン・リーグ 8月21日

ロイヤルズ 3-10 インディアンス
ヤンキース 3-14 ブルージェイズ
ツインズ 2-1 エンゼルス
アスレチックス 2-0 マリナーズ

ナショナル・リーグ 8月21日

レッズ 2-3 カブス
ロッキーズ 1-3 ドジャース
マーリンズ 3-4 ジャイアンツ
ナショナルズ 4-3 フィリーズ
ブレーブス 4-5 メッツ
パドレス 1-4 ダイヤモンドバックス

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