県は２１日、２００７年度中に県内で報告された高齢者への虐待状況を発表した。病院やグループホームなど高齢者施設内で起きた虐待が３件（被虐待者数６人）で、家庭内の虐待は３１９件（同３３７人）。前年度調査と比べて施設内の被虐待者数は２人増え、家庭内は２９人減った。

　施設内の虐待は（１）北九州八幡東病院（北九州市八幡東区）で、看護職員が７０‐９０歳代の４人の入院患者のつめをはがしたとされる事件（２）筑後地区のグループホームの介護福祉士が、７０歳代の認知症女性を裸のまま便座に座らせた（３）北九州地区の介護老人保健施設の介護職員が、８０歳代の女性のほおを平手でたたくなどした。連絡を受けた市町村が、各施設に再発防止など行政指導をしたという。

　また、家庭内での家族や親族による虐待の種別（重複あり）は、暴力をふるう「身体的虐待」が１９４件と最多。次いで暴言や侮辱、無視するなど「心理的虐待」が１０９件、勝手に財産やお金を使うなど「経済的虐待」が１０４件‐の順。

　虐待を加えた家族の続柄は息子が１４５人、娘が６１人、夫が４３人。介護支援専門員らが各家庭を訪れた際に、発覚するケースが多かったという。

　各市町村は、虐待が発覚した家庭のうち、１２４件は被虐待者を医療機関に一時入院させるなど「分離」の措置をしたが、１７２件はそのままだという。

＝2008/08/22付 西日本新聞朝刊＝