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用語解説「臨床研修制度(新医師臨床研修制度)」

 新人研修医が幅広い診療経験を積むために、2年間に内科や外科など7分野を順番に回って研修する制度。2004年に36年ぶりに改正された。従来は研修医の大半が大学医学部の診療科ごとに付属病院で研修を受け、その後、関連病院などに派遣されていた。新制度では研修医と病院の希望がマッチングすれば、研修医が自分で研修先を選べるようになった。各科の現場を見て医師としての適性を判断できるなど、研修医にとってはメリットの多い制度だが、医師偏在や不足を招いたとの批判の声も多く、厚生労働省は制度の見直しを進めている。

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 従来の臨床実地研修制度では、医師免許取りたての研修医は、教授が決めた派遣先で2年間の研修を受けるのが一般的だった。研修医は安い給料で長時間の過酷な労働を強いられ、半強制的にへき地などに派遣されることもあった。大学病院での専門分野に偏った研修の弊害が指摘されるようになり、研修医の待遇改善や幅広い知識と診療技術の習得などを目的に、04年4月に改正されて新制度となった。

 旧制度では、臨床研修を受けることは「努力義務」としていたが、新制度では2年間の臨床研修を義務化。内科、外科、救急部門(麻酔科含む)、小児科、産婦人科、精神科などでそれぞれ1か月以上研修することになった。研修医の処遇については公表することをルール化し、研修中のアルバイトも実質禁止となった。歯科医師の場合は06年4月から、1年以上の臨床研修が義務化された。臨床研修病院と研修医のマッチングは医師臨床研修マッチング協会が担っている。

 新制度がスタートし、研修先を自由に選べるようになった結果、研修制度が充実していて給料が高い都市部の一般病院に研修医が集まり、研修医の“医局離れ”が起きた。地域医療を支えていた「医局による医師派遣システム」は機能しなくなった。医師臨床研修マッチング協会によると、07年度の研修病院の募集定員はマッチングに参加した研修希望の医学部生の1.3倍に上るなど、学生側の希望が通りやすい状況だ。大学の医局は人手不足に陥ったため、地域の病院に派遣していた医師を呼び戻した。その結果、働き盛りの医師が都市部に集中し、地方では不足。大都市でも有名病院に偏在し、公立病院は足りないという現象が見られるようになった。

 研修医は志望科かどうかにかかわりなく、多くの科を回るようになったが、その結果、医療現場の実態を直視し、訴訟リスクの高い専門科を避けるようになった。そのため、多忙で緊急対応の必要な科ほど不人気となり、人員不足が加速するという悪循環も生じている。

 もちろん、新制度はデメリットばかりではない。病院経営者による自主的な人事権の行使による、公正な病院づくりをしやすくなった。従来の医局人事が崩壊しつつあることで、病院の経営者である医療法人や地方自治体が、地元大学の医学部に気を使うことなく採用活動を行うことが可能になったためだ。特に地方の病院は研修医を対象に各大学で説明会や病院見学会を開くなど、積極的な求人活動をするようになっている。

 厚労省は同制度を見直し、09年度から大学病院が独自に研修プログラムを一部変更できるようにした。見直しの対象は医学部を持つ79の国立・私立大の大学病院。医師不足が指摘される救急医療などの診療科目に重点を置いた研修を増やすことで、地域医療の崩壊に歯止めを掛けるのが狙いだ。


更新:2008/08/22 15:49   キャリアブレイン


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