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【医療と刑事捜査(下)】患者・遺族を癒やす方策を (1/2ページ)

2008.8.22 21:45

 「大野病院でなければ亡くさずに済んだ命。許せない」。20日の福島地裁。被告の産科医(40)に「無罪」が言い渡されると、亡くなった女性=当時(29)=の父、渡辺好男さん(58)は傍聴席で何度も涙をぬぐった。

 現状では、納得のいかない医療で最愛の家族を失った人たちは、その原因と補償を刑事捜査や民事訴訟の手続きの中に求めるしかない。警察庁の統計によると、医療事故に関する被害者の刑事告訴は平成19年が43件で、10年前の5倍。最高裁の調査だと、医療事故の民事提訴は同約950件で、10年前のほぼ1・5倍になる。

 ただ、悲しみに打ちひしがれる遺族らにとって、さらなる労力が必要な告訴や提訴は本来なら避けたい事態だ。

 東京都東部に住む女性(59)は、4年前に夫(62)が吐血で新葛飾病院(葛飾区)に緊急入院した。「検査結果が出る前に『大きな病気ではない』と医師に言われ、夫は退院しました」

 9カ月後、体に変調をきたした夫に再検査で胃がんが見つかった。調べると、新葛飾病院での初来院時の検査ですでに、胃がんを示すデータが取られていたことが分かった。さらに院内の管理体制不備で、カルテが一時、行方不明だったことも判明した。

 「報告の遅れは命にかかわる。『訴えろ』という親類もいた」というが、病院がミスを認め謝罪し、その後の夫の治療体制を補償するなどしたことで提訴は見送った。

 新葛飾病院で医療安全担当者として活動する豊田郁子さんは、「当事者同士が対話し理解し合うことが大切」と指摘。女性も「病院の誠意ある対応に、裁判でもめる以外の解決策があることを知った」と話す。

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