東商連運動ニュース

<「商売繁盛」No.142=希望聞いて、その場で調理・小売店の強み生かす魚屋さん=>

魚の魚栄(有)泉水産
代表 今泉 栄吉さん
文京区目白台2-13-9
TEL.03-3947-2783
魚栄さんは、不忍通の路地から少し入ったところにあります。商店街ではなく近くには八百屋さんが一軒あるだけの住宅街。暇な時間帯と聞いて午後一時過ぎでしたが、お客さんがつぎつぎと訪れていました。

 店にとっては、夕方からの本番に備えて魚を処理したり刺身にしたりで気ぜわしい時間帯。ご主人とは仕事をしながら、歩きながらのやりとりになりました。

 今のお店は昭和四十一年から現在地で営業しているとのことで、「三軒目の店だよ。二回店をつぶしたからね。魚組合の大塚支部でも昔は四十軒あったのが今じゃ十軒くらいしか残ってないよ」とのこと。

 メバルを選んだお客さんに、「煮ますか、焼きますか」と食べ方や希望を聞いて、「はい、焼きです」と店の奥に声をかけ、調理場で扱いやすいように調理してくれます。何匹かづつパック詰めされていても、「一匹でも二匹でもばらしてあげますよ。お客さんのいうことを聞かないとね」「若い人も多いし、食べかたを教えてあげないとね。料理も勉強しなくちゃいけないよ」など、お客さんの相手や商品を並べながら話が続きました。

 毎朝六時に築地に仕入れに行き、下処理や刺身、切り身など、家族五人で休む間もなく動き回っている感じで、話を伺っている間にも刺身のパックが次々並べられていきました。そうした仕込をこなしながら、「イワシでも皮むいてと言われればむくし、刺身にだってきってあげますよ。スーパーでできないことをやらなくちゃ生き残れないからね」。小売の専門店ならではの強みを商売に生かしています。

 話を伺っている間につぎつぎ買っていくお客さんの自転車のかごは魚でいっぱい。「何をいくら買ったのかしら」というほどの量でした。お使い物にするとのことで、お店と生きのいい魚への信頼がうかがわれるようでした。