【井上康生】平岡、重圧をプラスにできず

　五輪の重圧をプラスにできる選手と、できない選手がいる。初出場の平岡は残念ながら後者でした。北京入り後の練習を見てきたけど、緊張した様子はなかった。でも本番は違います。負けてはいけないという気持ちが先行し、自分の柔道ができなかったですね。

　調整にも問題があったのかもしれない。僕もそうだった。この階級は野村選手が前回大会まで３連覇。惜しかったのは指導を取られた後の腕ひしぎ十字固め。あそこは関節技よりも寝技でいくべきだった。押さえ込めばポイントが取れる可能性もあったと思う。

　女子では谷選手が準決勝で敗れました。最近の柔道はどちらか一方に反則を取る傾向があるけど、あの試合で相手が組み勝っていた印象はなかった。ほかの試合でも思わず首をかしげる判定があった。観客席から見ていて、こういう中で戦う厳しさを改めて感じました。（シドニー五輪柔道男子１００キロ級金メダリスト）