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財政危機/「禁じ手」使い黒字決算

2008年08月22日

■県07年度見込み 基金などから借金

 県は、07年度普通会計の決算見込み額が実質収支で10億7400万円の黒字になると発表した。しかし、この黒字は、将来の使い道を決めて貯蓄した特定目的基金から120億円、企業局の会計から40億円を借りる「禁じ手」を駆使した結果だ。県の予算規模からすると、「禁じ手」はほぼ限界に達し、借金に当たる県債残高は1兆2312億円と、前年度より141億円も膨らんだ。(高橋孝二)

 決算見込み額の歳入は、国からの税源移譲に伴って地方税が273億8800万円増えた一方、地方譲与税が321億3千万円減らされ、差し引き47億4200万円の収入減となった。これら不足分を特定目的基金からの借金120億円などで賄った。歳入総額は前年度より44億1千万円減り、7380億3300万円だった。

 一方、歳出は、社会保障経費の増加によって扶助費が7千万円増えたものの、普通建設事業費は106億1100万円減少。災害が少なかったため災害復旧事業費も11億3400万円減った。また、06年度決算では千円すらなかった自由に使える財政調整基金に、いざという時に備えて10億円を貯金した。歳出総額は前年度より35億5200万円減り、7319億9300万円になった。

 これら歳入と歳出の差額から、08年度に繰り越す財源49億6600万円を引いた実質収支が10億7400万円の黒字だった。ただ、同様に06年度から07年度へ実質収支11億2900万円の繰り越しを受けており、この前年度実質収支と財調基金への貯金分とを加減算した実質単年度収支は9億4600万円の黒字だったという。

 「禁じ手」で黒字を絞り出した結果、自治体の健全性を示す四つの指標のうち、実質赤字比率と連結実質赤字比率は問題なかった。実質公債費比率は16・1%、将来負担比率は253%で、早期健全化基準や財政再生基準をともにクリアした。

 だが、実質公債費比率は前年度よりも1・7ポイント改善したが、経常収支比率は1・7ポイント悪化して99・5%に。普通の家庭に例えると、家計に占める毎年のローン返済の割合は減ったが、給料のほとんどが家賃や光熱費、教育費、ローン返済に消えて、生活するだけで精いっぱいの状態だ。

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