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イオンチャネルの双極性障害への関与

Ion channels implicated in bipolar disorder

Nature Genetics, 2008年08月18日

2つの遺伝子の多型が双極性障害の高い発症リスクと関連していることを報告する研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。双極性障害は、一般的な気分障害で、かつては躁うつ病と呼ばれ、躁状態とうつ状態が交互に現れるという特徴がある。

既に公表されている全ゲノム関連解析で、双極性障害の遺伝的危険因子を示唆する証拠が得られているが、すべての解析結果を通してみると、一致点はほとんどない。今回、マサチューセッツ総合病院(米国ボストン)のP SklarとS Purcell、そしてカーディフ大学(英国)のN Craddockがリーダーを務めた共同研究では、公表されている結果を再度解析し、それに加えて、別の双極性障害の患者グループについてゲノム関連解析を行った。

その結果、双極性障害の遺伝的危険因子であることを示唆する証拠が最も強力だったのは、ANK3、CACNA1C両遺伝子の多型であった。ANK3遺伝子には、アンキリンGというタンパク質がコードされており、このタンパク質は、ナトリウムチャネルの集合を調節するという研究報告がある。CACNA1C遺伝子には、カルシウムチャネルのサブユニットがコードされており、このことは、既に提唱されていた関連を裏づけている。論文著者の一部は、マウスの脳において、双極性障害の最も効果的な治療法の1つであるリチウムに応答してANK3、CACNA1C両遺伝子の発現が低下することを既に明らかにしている。以上のデータは、イオンチャネルの機能変化が双極性障害の一因となっている可能性を示している。

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Original article DOI: 10.1038/ng.209

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