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大弦小弦 (2008年8月22日 朝刊 1面)

 同時代に生まれ、生活体験や社会的な出来事を共有することでつくられる価値観がある。生き方の違いと言った方が分かりやすい。「昭和ヒトケタ」「団塊」「新人類」などの世代がそう。

 最近、四十歳前後の女性を「アラフォー」と呼ぶ。「アラウンド・フォーティー」の略で、アパレル業界で使われる「アラサー(三十歳前後)」から派生したという。

 この世代はバブル期に青春時代を過ごし、男女雇用機会均等法の下で働き始めた。育児休業など仕事と家庭を両立させる環境整備が進み、多様なライフスタイルが認められた世代でもある。

 と書くと、華やかに楽々と生きてきたように聞こえる。しかし実際は子育てや家事で手いっぱい、男性中心の企業風土は相変わらずで、独身だと結婚や出産の選択に心が揺れる。

 二十代で「新人類」、三十代で独身、子なしだと「負け犬」と呼ばれてきた彼女たち。自由や経済力を手に入れた半面、ロールモデルの不在で未来を定めきれないでいるようにも見える。

 アラフォーの言葉はおしゃれに響くが、業界が購買力を当て込んで使っているのが見え見えで、そこから時代を象徴する女性像が浮かばない。何よりも個性を大事にし、豊かな生き方を追求する世代。ひとくくりにされたくないという思いの方が強いのではないか。(森田美奈子)




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