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【放送芸能】

緊迫『ドクターヘリ』出動 フジ『コード・ブルー』 

2008年8月22日 朝刊

 フジテレビの連続ドラマ「コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命」(木曜午後10時)は、空飛ぶ病院とも称されるドクターヘリが舞台となっている。迫力あるヘリコプターを使ったシーンは、どのように撮影されているのか。先週末、実際にドクターヘリを導入している日本医科大学千葉北総病院(千葉県印旛村)で行われているロケを取材した。 (高橋知子)

 撮影されていたのは、出動要請を受けたフライトドクターの黒田(柳葉敏郎)、フェロー(同ドクター候補生)の白石(新垣結衣)、フライトナースの冴島(比嘉愛未)がヘリポートに駆け付け、ヘリで飛び立つ場面。この後、ヘリで運ばれた急患を病棟へ搬送するシーンでは、主役のフェロー・藍沢役の山下智久らも加わった。

 目を閉じ神経を集中する柳葉や、真剣なまなざしで演出家の話を聞く新垣。現場は緊張感にあふれる。

 入念にテストを重ね、いざ本番。グォングォン、ゴゴゴーと、ヘリコプターの回転翼が動き始め速度が増すと、台風並みの風が周囲を包んだ。ヘリポート脇で見ていた記者にも、風の強さが痛いほど感じ取れた。

 一斉に身をかがめる撮影スタッフ。だが、カメラマンだけは風をものともせずヘリの姿を追う。迫力ある映像を求め、カメラを天に向け、離陸するヘリを最後まで追い掛けていた。

 ヘリは、パイロット歴二十六年の後藤貴志さん(46)が操縦。巧みな技術で、緊迫したシーンに貢献している。普段もドクターヘリに搭乗している後藤さん。ドラマにかかわるのは今回が初めてだ。

 「自分の仕事が公の場に出るのは初めて。晴れがましい気持ちです。ドラマで取り上げられるなんてうれしいですね」と、笑顔で撮影に臨んでいた。

 撮影用ヘリは、病院が保有するヘリと同型機が使用されている。撮影中に出動要請があれば、病院ヘリは即現場へ。その間、パイロットが不在になり、スタッフが離着陸に支障がないよう移動するため、ヘリポートでの撮影は中断する。多い日は、四回ほど出動があるという。取材日も一回出動があった。現実の救急救命の場だと実感する。

    ◇

 ドクターヘリは機内に医療機器を備えており、医師と看護師が同乗。重篤患者や医療過疎地域の救命救急などに有効とされる。現在、十三道府県が導入。昨年六月に全国的な導入を目指した特措法が成立したが、年間億単位の維持費に導入を足踏みする自治体も多く、一般にはさほど知られていない存在でもある。

 そのドクターヘリを舞台に設定した狙いは何なのか。増本淳プロデューサーは「まず前例がないこと、そして昨年、法律が成立し、今がタイミングだということです。一般の人になじみが薄いドクターヘリだが、ドラマが啓蒙(けいもう)に役立てばと思う」と話す。

 過去にも「救命病棟24時」「白い巨塔」「〓コトー診療所」など、フジの高視聴率ドラマを手掛けた増本プロデューサーは、今回はこれまでの医療ドラマで描けていない部分に目を向けたという。

 「現実として、助からない命もある。医者が頑張って患者が助かって、最後に感動のフィナーレが待っている、という描き方はしないようにしたい」

 

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