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社説

産科医無罪 医療の透明性高めたい(8月22日)

 医療における医師の判断をめぐり、どこまで刑事責任を問えるか−。

 福島県の県立病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡し、業務上過失致死などの罪に問われた執刀医に、福島地裁は無罪の判決を言い渡した。

 女性は赤ちゃんを無事出産したが、普通は自然にはがれる胎盤が、子宮に癒着していた。医師が胎盤をはがし続け、女性は大量出血して亡くなった。

 裁判では、剥離(はくり)を続けたことが過失に当たるかが争われた。判決はこの行為が「標準的な医療措置」だったとし、「癒着がわかった段階で子宮摘出に切り替えるべきだった」とする検察側の主張を退けた。

 臓器を取り違えて摘出したり、医療器具を体内に置き忘れたりといった医師の明白なミスで、刑事責任を追及するのは当然だ。

 だが、通常の医療における医師の裁量権にまで踏み込むのは捜査権の乱用と戒めたと言える。医療現場の実態を尊重した判決だ。

 そもそも死亡から一年以上たち、逃走などの恐れもないのに逮捕することに無理があったのではないか。

 医師の逮捕をきっかけに、積極的な医療を敬遠する医療の萎縮(いしゅく)が懸念され、産科医不足にも拍車がかかった。無罪判決がこうした動きの歯止めになることを期待したい。

 一方、刑事事件としては無罪になったものの、医師には反省の余地も残ろう。

 裁判の過程で、助産師が手術前に、設備の整った病院への転送を医師に助言していたことなどが明らかになった。しかし、産科医がこの医師一人しかいない病院で手術に臨み、最悪の結果を招くことになった。

 難手術への準備は万全だったか。遺族への説明は十分だったか。医療不信を払拭(ふっしょく)するためにも検証は必要だ。

 今回の事件で、あらためて必要性が浮き彫りになったのは、医療事故の原因を究明する第三者機関の創設だ。政府が秋の臨時国会に、医療安全委員会(仮称)の設置法案提出を目指している。

 厚生労働省の案では、委員会は医師や法律家などで構成する。治療が原因で患者が死亡した場合、医療機関からの報告や遺族の要請に基づいて原因を調査する。重大な過失が明らかになれば、捜査当局に通報するとしている。

 万全な体制の委員会を早期に設立してほしい。

 医療にはリスクが伴う。だれもが納得できる結果を得られるとは限らない。だからこそ、医療の透明性と医療従事者の誠実な対応が必要なことを、今回の事件は示している。

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