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【主張】ロシア軍駐留継続 許されない不法な居座り

2008.8.22 03:12
このニュースのトピックス主張

 グルジアの南オセチア紛争で、停戦を表明したロシア側が今度は地上軍の一部をグルジア領内に引き続き駐留させると発表した。

 これは、ロシア、グルジア両軍が戦闘開始前の配備地に戻るとした停戦合意の原則を無視したものだ。ロシア軍は今後長期にわたり、侵攻した隣国グルジアに居座ろうというのだろうか。そうであれば、グルジアの主権はないがしろにされ、同国の領土保全も揺らぐことになる。

 ロシア軍はグルジア領に「安全地帯」を設け、停戦を保障するという。だが、紛争の当事国が停戦監視に当たるのは国際常識に反する行為だ。

 グルジアでの紛争を契機に、ウクライナなどのロシア周辺諸国では、ロシアの強硬姿勢に危機感が急速に高まっている。

 ロシアはすでに、黒海に突き出たクリミア半島を領土とするウクライナに対しても、半島の領有権を主張して圧力をかけている。「ロシア国籍を持つ住民の保護」を口実にグルジアへ軍事侵攻し、駐留を継続しようとするロシア軍の存在は、ウクライナにも現実の脅威となった。

 欧米諸国には、グルジアの北大西洋条約機構(NATO)加盟を早めていたなら、ロシア軍の介入は防げたとする反省の声も上がっている。欧州諸国の多くはエネルギー供給をロシアに依存しており、対立は回避したいのが本音だ。そのことが、グルジアやウクライナのNATO加盟を遅らせる遠因ともなってきた。

 しかし、高騰するエネルギー資源を武器に国力を回復したロシアは、再び拡張主義を増長させている。このままではさらなる紛争を招きかねない。欧米は紛争の拡大予防という観点からも、グルジアやウクライナのNATO早期加盟を約束するときだろう。

 北方領土問題を抱える日本にもグルジア問題は無関係ではない。ソ連時代のロシアは第二次大戦後、日本固有の領土である北方四島に軍事侵攻し、60年以上も不法占拠し続けている。侵攻した他国の領土に駐留を続ける点で共通すると言っていい。

 日本は今年の主要国首脳会議(G8サミット)議長国である。「居座るならG8メンバー国の資格なし」ぐらいの強いメッセージが欲しい。ロシアの自制を促す努力を重ねることが重要だ。

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