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iPS細胞:親知らずから作成…産総研など

 抜歯した親知らず(歯胚=しはい)の細胞から、さまざまな細胞に分化できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに、産業技術総合研究所などが成功し21日、発表した。親知らずの利用は初めてで、入手のしやすさなどの利点がある。大量のiPS細胞を蓄えて再生医療に生かす「iPS細胞バンク」などへの応用が期待できる。

 産総研の大串始・研究グループ長らは、歯列矯正の治療で抜歯した10歳女児の生えてくる前の未成熟な親知らずの提供を受けた。ここから骨や筋肉などに分化できる未分化細胞「間葉系幹細胞」を取り出し、3年間冷凍保存した後、京都大の山中伸弥教授が見いだした3種類の遺伝子を導入。山中教授のiPS細胞と同性質のものを作った。

 今後は完全に生えた後の親知らずからも、iPS細胞が作れるか調べる。大串グループ長は「親知らずは毎日、膨大な数が歯科医で抜歯され廃棄されている。長期の冷凍保存後もiPS細胞が作れることも確認できた。バンクだけでなく、自分の親知らずを保存し、病気になった時にiPS細胞にして治療に生かす方法がより現実的になる」と話している。【奥野敦史】

毎日新聞 2008年8月21日 22時41分

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