「雪や酒といった印象が強かった新潟は、Ｊリーグでホームスタジアムが熱狂的なサポーターでにぎわう姿が紹介されたことで、『あのまちは熱い』という評価に変わった」―。

　サッカー・ファジアーノ岡山木村正明社長の言葉です。新潟市は昨年四月に政令指定都市となりましたが、どちらかというと、地味な印象の街でした。岡山市もイメージが希薄と言われますが、木村氏の言葉は、都市の存在感は自分たちで高められる、というメッセージだと思います。

　エリア総合面で「政令市への道　岡山市の挑戦　第七部」を掲載し、六人の提言をいただきました。岡山市が来春の移行を目指す政令市は、行政の役割分担の変更が基本ですが、街のあり方を問い直す機会であり、飛躍へのチャンス。好機をどう生かすべきか、各界の方々に目指すべき方向性を聞きました。

　岡山大大学院の谷口守教授は政令市を「一旗揚げたいと思う若者があてもなく向かう先」と表現し、「外から来た人がフェアに評価されるオープンな都市になったほうがいい」と指摘しました。

　日本政策投資銀行の中村聡志岡山事務所長からは、かつて赴任した鹿児島市の街おこし団体と比べ、「岡山の人はクールだが共通目標を定めて突き進む泥くさい取り組みがもっとあっていい」との提案がありました。

　どの発言も問うているのは官ではなく、民の姿勢です。行政の旗振りが目立つ政令市移行の動きですが、活力ある街への鍵を握るのは市民、そして企業ではないでしょうか。（政治部・板谷武）