【ワシントン=鵜飼啓】ロシアとグルジアの軍事衝突をめぐり、米政府が「グルジア軍はロシア軍に太刀打ちできない」として、グルジア政府にロシアとの衝突回避を直前まで働きかけていたことが分かった。米国務省欧州ユーラシア局のブライザ次官補代理が19日の記者会見で明らかにした。
グルジアの南オセチア自治州では8月に入り、グルジア部隊とグルジアからの独立を求める南オセチア部隊の砲撃戦が続いていたが、米政府は独立を後押しするロシアの介入を懸念。「ロシア軍はグルジア軍の何倍も強大。グルジアは持ちこたえることができない」とグルジアに攻撃の自制を求めたという。
米政府は「戦車などの陸上部隊は食い止められても空爆でやられる」などとも訴えたが、グルジア政府は「村や国民を防衛せざるを得ない」として8日に南オセチアへの大規模攻撃に踏み切り、ロシアの軍事介入を招いた。
ブライザ氏は会見で、南オセチア自治州政府ではロシア当局から派遣された人物が幹部を務めていると指摘。部隊指揮権もこうしたロシア当局者が握っていたとして、ロシアが衝突に当初から関与していたと批判した。