ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 香川 > 記事です。

香川

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

うつ病:診断に“物差し” 回復・不調期に血流増減、度合いを脳画像で確認 /香川

 ◇香川労災病院の小山医師が研究 予防、職場復帰に活用期待

 労働者のうつや疲労の度合いを、脳の画像から読み取る研究結果を、香川労災病院(丸亀市城東町3)勤労者メンタルヘルスセンター長の小山文彦医師(46)=精神科=がまとめた。

 研究では、うつ病で不調な時期には脳の一部の血流が低下し、回復期に血流が回復することが確かめられた。これにより、従来自覚症状や患者との対面で判断してきたうつ病について、誰が見てもわかる客観的評価ができる“物差し”が確認できたことになる。小山医師は「労働者のうつ病予防や職場復帰などの際に活用できれば」と話している。

 研究は、労働者健康福祉機構が厚生労働省が定めた「労災疾病等13分野医学研究・開発、普及事業」の一環として04年度から行われてきた。

 研究では、SPECT(スペクト=単光子放射線コンピューター断層撮影装置)と呼ばれる脳の血流量を測定する診断機器を用いて、うつ病と診断された労働者の脳を継続調査した。

 うつ病の不調期には、前頭葉や頭頂部に血流の低下が認められ、うつ病の回復にともなって、血流は増加した。健康な労働者の画像分析では、明らかな血流の変化はなかった。なお、平均脳血流量は、うつ病不調期、回復期ともあまり変わらず、血流低下は部分的なものだった。

 また、過剰労働による疲労の蓄積や睡眠不足についても、脳血流の変化で客観的に評価できる結果が示された。

 現在、うつ病でSPECTを用いた脳血流量の診断は保険外診療となるが、小山医師は「レントゲン写真のように、うつの回復や病状を患者の目の前で示すことにより、より効果的な治療、予防が可能になる。職場復帰に際しても活用できる」と話す。

 研究成果については、「日本職業・災害医学会誌」に論文が掲載されるほか、11月以降に同学会や日本産業ストレス学会などで発表される。【矢島弓枝】

毎日新聞 2008年8月21日 地方版

香川 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選

おすすめ情報