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更新:1月21日 09:23PC&デジタルカメラ:最新ニュース

オフィス互換の6ソフト、1番使えるのはどれか(1)

 「マイクロソフトオフィスの独占状態が崩れ始めている!」――最近多くの人が、こういった印象を持っているのではないだろうか。このところ、無料あるいは低価格の「互換オフィスソフト」が注目を浴び、オンライン上のサービスも登場しはじめた。数年前までの「オフィス=マイクロソフト」という状況から、「目的や利用状態に合わせて複数のオフィスソフトのなかから選択できる」と変化してきているのだ。

 もちろん、まだしばらく「マイクロソフトオフィス」がオフィスソフトの中心であることは揺るがないだろう。しかしあなたが複数のパソコンを所有しているのなら、すべてのパソコンにマイクロソフトオフィスを入れておく必要はないかもしれない。また、会社でマイクロソフトオフィスを使っていても、自宅ではファイルの内容を確認する程度なら、安い互換オフィスでも十分なのかもしれない。

 では、どんなオフィスソフトがあり、どんな違いがあるのか。どんなときに利用でき、逆に、どんなときには利用しない方がよいのか。互換オフィスの状況を整理し、共通の基準でテストしてみようというのが、この連載の目的だ。

■6本の互換オフィスを状況別に徹底比較

ワード、エクセル、パワーポイントというビジネス三種の神器に加え、アウトルックを同梱するマイクロソフトオフィススタンダード2007。実勢価格は5万3000円前後と、複数台のパソコンにもれなくインストールするにはちとツライ価格だ

 この連載で俎上に載せるのは、「EIオフィス2007」「キングソフトオフィス2007」「グーグルDOC」「ジャストスイート2008」「シンクフリーてがるオフィス」「スタースイート8」の6本だ。いずれも名前ぐらいは聞いたことがあるのではないだろうか。古くからのソフトもあり、新参のソフトもあるが、どのソフトもマイクロソフトオフィススイートの機能を代替できる互換オフィススイートである。価格はマイクロソフトオフィスの半値や10分の1、なかには無料のものもある。

 この連載では、オフィスソフトを利用する状況をあらかじめ設定し、そのうえで6本の互換オフィスを使った結果をマイクロソフトオフィスと比較してみようと思う。

 たとえば、「会社で手渡された書類を自宅で確認する」というときに、表や画像、グラフなどが組み込まれているとしよう。6本の互換オフィスでは、そのファイルの内容がどのように再現されるだろうか。あるいは、それがプレゼンテーションのファイルだった場合に、スライドの切り替えやアニメーションは再現されるのだろうか。

 はたまた、「会社で発送しなくてはならない挨拶状を自宅で作成する」という状況設定なら、用紙サイズやマージンの設定をやり直さなくても済むのだろうか。出張旅費の計算を自宅でやって、それをそのまま会社で提出できるだろうか。会議の準備を自宅でするときに、プレゼンテーションソフトはどこまで役に立つのだろうか……。上記の6本の互換オフィスの機能を検証したうえで、こういった疑問をひとつひとつ解決していこう。

■連載で取り上げる6本の低価格/無料オフィスの特徴

 これら互換オフィスの特徴は、価格が安くて互換性があるというだけではない。部分的にはマイクロソフトオフィスの機能を超え、状況によっては、さらに便利に使えるものもある。また、ソフトによっては、将来を見据えた機能構成になっていて、やはりマイクロソフトオフィスよりも使い勝手がよい幅広く活用できる可能性を持っているものもある。

 特にタブ機能やより高度な連携機能など、マイクロソフトオフィスにはないが非常に便利な機能を実装するものもあり、魅力は価格面だけにはとどまらない。以下で各ソフトの概要をおさらいしておこう。

(1)中国発、各ソフトの統合性が高い「EIオフィス2007」

 EIオフィスは、「Evermore Integrated Office」の略で、中国のエバモアーソフトウエアが開発した互換オフィススイートの日本語版。ワードプロセッサー、表計算ソフト、プレゼンテーションの3種類のアプリケーションで構成する。それぞれのソフトウエアで作ったファイルは、マイクロソフトオフィスと互換性がある。

 操作性も似ているが、マイクロソフトオフィスよりも各ソフトウエアの統合度が高い。また多数の化学記号や化学式の画像データを組み合わせ、教材作成などが簡単に行える「サイエンスエディター」という機能を搭載する。表計算ソフトでは、セルに数値や文字、計算式だけではなく画像や動画なども埋め込める「マルチデータ機能」をサポートしており、この点も優れている。

 今回のテストで使用した「使える!オフィスソフト E.I.O.〜3台使えるパック〜」は、イーフロンティアが販売する低価格パッケージで直販価格は5980円。

(2)軽量で見た目そっくりの中国製オフィス「キングソフトオフィス2007」

ユーザーインターフェースのみならず、パッケージも何となくマイクロソフトオフィスに似ているキングソフトオフィス2007

 中国のソフトウエアハウス「金山軟件有限公司」が開発したオフィススイートの日本語版だ。ワードプロセッサーの「キングソフトライター2007」、表計算ソフトの「キングソフトスプレッドシート2007」、プレゼンテーションソフトの「キングソフトプレゼンテーション2007」の3種類のソフトウエアで構成する。

 マイクロソフトオフィスそっくりのユーザーインターフェースを採用しており、初期設定のファイル保存形式も、マイクロソフトオフィスと共通になっている(PDF形式やキングソフト独自形式で保存することも可能)。複数のファイルをタブで切り替えられるなど、独自の工夫も加えている。インストールに必要なHDDの空き容量が98メガバイトと軽量化していることも特徴の1つ。

 キングソフトのウェブサイトでダウンロード購入する場合の直販価格は4980円。箱入りのパッケージ版の実勢価格は6800円前後だ。

(3)グーグルがオンラインで提供する「グーグルドキュメント」

 ワードプロセッサー、表計算ソフト、プレゼンテーションの3種類で構成している無料のオフィスソフト。オンラインで提供しているため、自分のパソコンにインストールする必要がない。アカウントを作成し、グーグルドキュメントのサイトにアクセスするだけで、ウェブブラウザー上でデータの表示や編集ができる。利用は無料だ。作成したドキュメントは、ウェブブラウザーから印刷する。

 ワープロ+プレゼンテーションで5000個、スプレッドシートで1000個までの文書保存スペースを確保する。作成した文書を自分のパソコンに保存する必要がないということだ(必要に応じてダウンロードすることもできる)。つまり、自宅からでも、会社からでも、立ち寄ったインターネットカフェからでも、グーグルドキュメントのサイトに接続すれば、いつでも自分のデータを表示して編集ができるわけだ。

 マイクロソフトオフィスのファイルをアップロードして編集することが可能。また、作成したファイルをマイクロソフトオフィス形式でダウンロードすることもできる(プレゼンテーションファイルを除く)。そのほか、ドキュメントを共有したり、共同編集したり、作成したドキュメントをWebで公開したり、ブログに投稿することなどができる。07年の1年間でずいぶんと機能を充実した印象があるが、まだベータ版だ。

(4)一太郎2008を中心にした統合ソフト「ジャストスイート2008」

ワードプロセッサーの一太郎2008を中核に構成される日本製の互換オフィスであるジャストスイート2008

 ジャストシステムがワードプロセッサーの「一太郎2008」をベースに構成するのが「ジャストスイート2008」だ(発売は2月8日)。「一太郎2008」ほか、7種類のソフトウエアをパッケージしている。今となっては珍しい日本製で、正確な日本語ドキュメントを作成するための機能が充実している。そのため教育関係者などからは、圧倒的に支持されている。

 パッケージを構成するのは、ワードプロセッサーの「一太郎2008」、表計算ソフトの「三四郎2008」、プレゼンテーションソフトの「アグリー2008」、グラフィックスソフトの「花子2008」、メーラーの「シュリケン2008」、PDF作成ソフトの「ジャストPDF」、日本語変換ソフトの「ATOK2008」、ドキュメント管理ツールの「スイートナビ」の8つ。

 通常版の実勢価格は2万3000円弱と比較的高価だが、他社のワープロソフトやオフィスソフトのユーザーであれば実勢価格が1万7000円弱の「特別優待版」を購入できる。

(5)もうひとつのウェブオフィス「シンクフリーてがるオフィス(beta)」

 グーグルドキュメントと同様、ウェブブラウザー上で利用する無料のオフィスソフト「ThinkFree OfficeOnline」(韓国Haansoftが開発し、現在ベータ版として提供中)の日本語版が「シンクフリーてがるオフィス」だ。この日本語版は、ソースネクストが提供している。ただし、日本語化は完全ではない。

 ソフトウエアの構成は、ワードプロセッサーの「シンクフリーてがるワープロ」、表計算ソフトの「シンクフリーてがる表計算」、プレゼンテーションソフトの「シンクフリーてがるプレゼン」の3種類だ。それぞれマイクロソフトオフィスで作ったファイルを読み込むことが可能だ。

 グーグルドキュメントと同じように、名前とメールアドレスを登録するとすぐに使い始めることができる。ウェブブラウザー上で利用するソフトなのでパソコンにソフトをインストールする必要はないが、編集機能は「クイックエディット」と「パワーエディット」に分かれている。フル機能のパワーエディットを利用するには、あらかじめJAVAのランタイムパックをダウンロードし、インストールしておく必要がある。

 なお、作成したドキュメントは「シンクフリーてがるオフィス」サイトが用意する1ギガバイトの保存スペースに保存できる。PDF出力、ウェブサイトやブログへの公開機能などもサポートする。

(6)世界中に浸透しつつあるオープンソースオフィス「スタースイート8」

ソースネクストが販売しているスタースイート8

 米サンマイクロシステムズが開発し、ソースネクストがパッケージとして販売しているオフィススイート。Windows版とLinux版の2つのパッケージがセットになっている。もとになっているのは、オープンソースで開発されている「OpenOffice.org (オープンオフィス)」だ。ライセンス料の関係でオープンオフィスに含まれていないフォント13書体やクリップアート・テンプレートなどを追加している。ユーザーサポートも含まれている。

 ソフトウエアの構成はワードプロセッサーの「ライター」、表計算ソフトの「カルク」、プレゼンテーションの「インプレス」、グラフィックスソフトの「ドロー」、データベースソフトの「ベース」の5種類だ。PDF形式での文書出力も可能。マクロ機能を搭載しているが、マイクロソフトオフィスとの互換性はない。

 ソースネクストのウェブサイトなどでダウンロード購入する場合の直販価格は3970円、パッケージ版は5万本限定で3970円の「特別価格版」を販売中だ。

■来週からは「ビューワーとしての機能性」をチェック

 さっそく次回から、6オフィスの互換状況をチェックしていく。まずは「ビューワーとしての機能性」を数回に分けて確認していく予定だ。マイクロソフトワードやエクセルで作ったファイルを、各オフィスがどう解釈するのか、表示がおかしくなったりはしないか。家では確認作業程度なのに、高価なマイクロソフトのオフィスを購入したくない、というユーザーにとっては、非常に気になるところだろう。(原則として毎週月曜日に掲載します)

[2008年1月21日]

-筆者紹介-

松井 幹彦(まつい みきひこ)

フリーライター

略歴

 NEC PC9801からのロートル・パソコンユーザーで、90年代からマイクロソフトエクセルを中心にオフィスソフトの解説書などを執筆。現在は、栃木県那須郡那珂川町の山奥で田舎暮らしを実践中。「OpenOffice.org ユーザーのためのMicrosoft Office 互換性研究室」「松井幹彦のOfficeソフトウォッチング」「那珂川町発展計画 (〜勝手に町おこし)」などのウェブサイトでも記事を執筆している。

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