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更新:8月8日 11:10デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

PSP好調を蝕む「パンドラバッテリー」の猛威

 先週は、任天堂が直面する「ニンテンドーDS」の違法コピー問題の現状をお伝えした。今週はソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション・ポータブル(PSP)」でも起きている深刻な違法コピー蔓延の実態を取り上げる。(新清士のゲームスクランブル)

■リリース1週間で8万本コピー

 7月31日に人気ロールプレイングゲーム(RPG)の新作「ファンタシースターポータブル」(セガ)がPSP向けに発売された。2日後の8月2日の夕方ごろ、「P2P」ソフトウエアの情報サイトを見て驚いた。そのサイトの情報によれば、ファンタシースターの800メガバイトあまりにもなるゲームデータを取得したユーザー数がすでに1000人を超えていたからだ。潜在的にはさらに膨大なユーザーがいることを示している。

 これは、PSPのディスクメディアであるUMDからゲームデータを吸い出し、P2Pソフトで違法に流通させているものだ。8月7日現在、ダウンロード数はさらに増えて8万件以上に上っているように思われる。

 このゲームはまだ日本語版しか発売されていない。これだけのダウンロード本数が確認できるということは、日本でPSPの違法コピーの一般化が進行していることを物語っている。現状、いったい何本のソフトが違法コピーされているのか不明である。正確な被害額も算定はできない。なぜ、このような状況に至ったのだろうか。

 PSPは2004年に発売されて以来、ハッキング行為に苦しめられてきた。PSPのOS部分であるファームウエアを、ユーザーがネット上に流通している非公式ファームウエアに書き換えることで、メモリースティックに違法コピーしたゲームデータからゲームを起動できるようになってしまう。ロシアのハッカーが中心になってこうしたファームウエアを開発しているとされているが、もちろん真相は確かめようがない。

 特にPSPの初期ハードは、セキュリティー的な脆弱性がすぐに発見され、リリースから半年で非公式ファームウエアが登場した。ファミコンなどの過去のゲーム機のエミュレーターを起動できる環境がユーザーによって整えられ、PSP上で任天堂の「スーパーマリオ」を起動することができるという、まさにSCEにとっては悪夢としか言いようがない状況が生まれた。

 これらの非公式ファームウエアは、インターネット上の様々な無料のダウンロードサイトにばらまかれており、ユーザーはダウンロードしてPSPにインストールする。日本語で導入方法を解説しているサイトは少なくなく、最近ではその解説書籍も普通に店頭に並ぶ状態になってきた。

 PSPは、DSと比較すればより容易にファームウエアをアップデートできるシステムになっている。そのため、SCEは頻繁にアップデートを行っている。そのたびに、非公式ファームウエアを起動できなくするセキュリティー対策を盛り込んできた。

 しかし、ハッカーネットワークはSCEのアップデートの度に、アップデートした非公式ファームウエアをリリースすることを繰り返している。まさにいたちごっこの様相を呈している。

■違法コピーの蔓延を促進するハードの登場

 こうした状況から、SCEはハードウエアの更新によって抜本的な対策を取る道を選択した。昨年9月に発売された新型PSPは、軽量化とともにこの非公式ファームウエアに対するセキュリティー対策を盛り込んだハードウエアでもあった。実際、その対策はしばらく効果を上げ、この問題は収束するかに見えた。

 ところが、結局は新型PSPのファームウエア無効化を可能にするセキュリティー上の穴が、発売数カ月後に発見されてしまった。それはPSPのバッテリーを経由する方法で、改造したバッテリーを使用すると、従来通り非公式ファームウエアをインストールできてしまうのだ。これは、PSPの製造工場から流出した情報といわれているが、この真相も定かではない。結局、旧型PSPと同じ状態に逆戻りした。

 ただ、これらの改造は、それなりに専門知識が必要で難易度が高く、誰にでもできることではない。特に、改造バッテリーの作成は難易度が高い。

香港で売られていた「パンドラバッテリー」。

 セキュリティーを無効にするように改造が施されたバッテリーを入手できれば、話はまったく別だ。その場合、そのバッテリーをPSPにセットして、非公式ファームウエアをインストールするだけで済む。このファームウエアを無効化するバッテリーは「パンドラバッテリー」と呼ばれている。PSPの違法コピーの蔓延を再加速化させたのは、ハードの出現による部分が大きい。

次ページ・・・秋葉原の一部ショップにも

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