「医師と患者連携を」 地裁判決後福島でシンポ

事件が地域医療に与えた影響について活発に意見が交わされたシンポジウム=福島市の福島グリーンパレス
 手術中の判断をめぐり産婦人科医が業務上過失致死罪などに問われた大野病院事件が医療現場に与えた影響を考えようと、福島地裁で判決が言い渡された20日、全国の医師や市民ら約150人が福島市に集まり、シンポジウムを開いた。

 名古屋市の産婦人科医野村麻実さんはお産を扱う施設が福島県内で減少するなど、事件が地域医療の崩壊を加速させたと指摘。「失った物を戻すのは難しいが、住民は残った医療をどうやって守るか考えてほしい」と呼び掛けた。

 医師の資格を持つ東京の加治一毅弁護士は「ここ数年、医療事件では無罪判決の確率が高まっている。医師が安心して働くため、刑事司法介入の線引きをはっきりさせるべきだ」と述べた。

 医療事故で起訴猶予処分を受けた経験のある和歌山県立医大の岸和史准教授は「医療者も患者も病気、苦痛からの解放という同じ目標に向かい、手を携えるべきだ」と強調した。

 今回の無罪判決には「逮捕は不当だった」「刑事罰ではシステムエラーを改善できない」などと捜査側へ批判も。会場から「検察は控訴すべきでない」と発言が出ると、拍手がわき起こった。
2008年08月21日木曜日

福島

社会



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