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2008年8月21日

 「平和の祭典」をうたう北京五輪期間中だからなおのこと、血なまぐさい戦いの報道が際立つ。パキスタンで自爆テロが続き、アフガンでは仏兵の犠牲者が出た。グルジアでは依然緊張が続く

敵対するロシアとグルジアのメダリストが握手し、和平を訴える一幕があった。五輪の理念を大切にする人があれば、それをあざわらう行動に及ぶ勢力もある。複雑極まる国際社会である

戦う人々が和解の手を伸べ合うのは難事なのだろうか。「そうではありません」と、語った元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんのことを思う。世界の留学生が交流するジャパンテントに招かれ、金沢で講演した。留学生に向け、何度もその言葉を繰り返した

自爆テロは必要悪か。富の偏在はなくならないのか。素朴な問いに丁寧にこたえ続けて降壇する緒方さんに、留学生たちは総立ちになって感動の拍手を送った

熱心な質問は、政情が不安なアジアや東欧の若者たちで占められた。小国の人ほど、国やふるさとを思う心は大きいのだろうか。きょう21回目のジャパンテントが開幕する。感動のメダル争いをしてほしい。


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