【第4回】 2008年08月11日
星野ジャパン人気に見る「偏狭ナショナリズム」という脅威
――メディアから視聴者、選手団まで「日の丸」に支配された北京五輪
1つの詩が教えてくれる
「日の丸」に隠された真実
「原爆詩人」として知られる栗原貞子さんの「旗」という作品の一部を紹介する。
日の丸の赤は じんみんの血
白地の白は じんみんの骨
いくさのたびに
骨と血の旗を押し立てて
他国の女やこどもまで
血を流させ 骨にした
いくさが終わると
平和の旗になり
オリンピックにも
アジア大会にも
高く掲げられ
競技に優勝するたびに
君が代が吹奏される
千万の血を吸い
千万の骨をさらした
犯罪の旗が
おくめんもなくひるがえっている
「君が代は千代に八千代に
苔のむすまで」と
そのために人民は血を流し
骨をさらさねばならなかった
今もまだ還って来ない骨たちが
アジアの野や山にさらされている
略
日の丸の赤はじんみんの血
白地はじんみんの骨
日本人は忘れても
アジアの人々は忘れはしない
栗原さんは、この詩で「日の丸」を象徴とした侵略戦争によって2000万人ともいわれるアジアでの犠牲者をだしたこと、そればかりか戦後もそのことに対して謝罪も補償もしない、そうした日本のあり方を厳しく批判しているのだ。
第4回 | 星野ジャパン人気に見る「偏狭ナショナリズム」という脅威 (2008年08月11日) |
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谷口源太郎
(スポーツジャーナリスト)
1938年鳥取市生まれ。講談社、文芸春秋の週刊誌記者を経て、フリーランスのスポーツジャーナリスト。スポーツを社会的視点からとらえた批評をてがける。市民の立場からメディアを研究する「メディア総合研究所」会員。フェリス女学院大学非常勤講師。著書「スポーツを殺すもの」(花伝社)、「巨人帝国崩壊」(花伝社)、「日の丸とオリンピック」(文芸春秋)など。
底の浅いスポーツ報道に高騰する放映権料、エージェントの暗躍やスポンサーと協会の利害関係、そしてスポーツを利用する政治家まで。スポーツは純粋な「競技」から、完全に「ビジネス」と化した。スポーツを殺したのは一体誰なのか。暴走するスポーツバブルの裏側を検証する。