最終更新: 2008/08/20 23:21

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福島・帝王切開手術女性死亡事件 業務上過失致死などに問われた産婦人科医に無罪判決

2004年に福島県の県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡した事件の裁判で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医に無罪が言い渡された。
全国の医療関係者などが注目しているため、福島地方裁判所には、朝から多くの報道陣が詰めかけた。
午前11寺半現在も裁判は続いているが、無罪判決の理由については、まだ話は至っていない。
無罪判決を受けた加藤克彦医師(40)は、それまでの緊張が解け、ほっとしたように見えた。
手術中の医師の判断をめぐって、過失があったかどうかを問う今回の裁判の行方は、全国の医療界から注目されていた。
午前8時には、福島地方裁判所に25席の傍聴券を求め、多くの人が行列を作った。その列は最終的には788人になり、裁判所の敷地内いっぱいに行列を作った。
そして傍聴希望者の中には、たくさんの医療関係者の姿も見られた。
そのうちの1人は、「無罪判決によって医療崩壊を食い止めることができた」と話していた。
この事件は2004年12月、福島・大熊町にある県立大野病院で、帝王切開手術を受けた当時29歳の女性が死亡したもの。
女性は、癒着胎盤という珍しい症例で、死因は、子宮から胎盤をはがす際の大量出血だった。
女性の父親は「何でこういうふうになったの。何の医療事故でもないよ、医療ミスでもないよ。ただの説明だけで、納得できなかったですね」と語った。
警察は、執刀した加藤克彦医師を業務上過失致死などの容疑で逮捕した。
一方、医師の逮捕という事態に、日本産婦人科学会をはじめとした医療界は猛反発した。
日本産婦人科学会は、会見で「全国的な産婦人科医不足という現在の医療体制の問題点に深く根ざしており、献身的に過重な負担に耐えてきた医師個人の責任を追及するにはそぐわない部分があります」と話していた。
裁判では、検察側は「加藤医師が適切な処置を怠った」として、禁固1年、罰金10万円を求刑。
弁護側は、「最善を尽くした」として無罪を主張していた。
この事件をきっかけに、全国で産婦人科医をはじめとした医師不足が注目された。
また、医師の裁量権をめぐって、刑事責任を問われることになれば、医師が萎縮(いしゅく)してしまうといった声が上がっていた。
それだけに、今回の無罪判決が今後の医療界にどんな影響を及ぼすのか注目される。
判決理由の説明は、昼の休廷を挟んで午後も続くことになっている。

(08/20 12:40 福島テレビ)


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