[AML 5860] 熊本朝鮮会館福岡高裁判決についてのお願い

加賀谷いそみ QZF01055 at nifty.ne.jp
2006年 2月 6日 (月) 11:37:58 JST


熊本朝鮮会館行政訴訟をめぐる福岡高裁判決について全国のみなさんへのお願
い

  2月2日熊本朝鮮会館の固定資産税減免措置の取り消しを求めて「救う会熊
  本」が起こした行政訴訟の控訴審判決で福岡高裁(中山弘幸裁判長)は一審
  熊本地裁の減免措置を適法とする判決を否定し、減免措置を取り消す判決を
  下しました。
  
  この判決は「救う会熊本」など極右勢力が主張する内容に沿ったきわめて政
  治的判断が先行した判決であり、在日朝鮮人だけでなく在日外国人総体の日
  本社会での生活や生存権を脅かす偏狭な排外主義に貫かれたものと言わざる
  を得ません。
  
  一審熊本地裁は昨年、熊本朝鮮会館がその利用対象者、設備や利用実態、事
  業内容などから見て公益性を備えており「公民館類似施設」に当たるとする
  熊本市の決定は適法であるという判断を下しました。
 熊本朝鮮会館で日頃行われている活動は民族教育のための事業や日本人と同
 等の社会保障が受けられない在日朝鮮人の人権と生活を守るための活動、高
 齢者・障害者支援などの福祉活動、さらに国交がない状況下で日朝友好親善
 のための諸活動など多岐にわたっています。在日朝鮮人以外の利用も規則や
 運用上可能とされており、駐車場が狭くて車三台程度しか駐車できない点や、
 会館の老朽化の進行で一般の公民館のような利便性はなくとも、私たち熊本
 県民が会議などで利用することもあります。

  しかし福岡高裁判決はこのような朝鮮会館の活動内容を検討の対象とはせず、
  「減免措置の対象となる『公益性』は『わが国社会一般のために』と解する
  べきことは文脈上からも、本件の対象が国内の固定資産であることからも当
  然である」という偏狭な判断基準に基づき「総連の組織及び活動にかんする
  事実から、総連は北朝鮮の指導のもと、北朝鮮と一体の関係にあり、北朝鮮
  の国益や在日朝鮮人の私的利益を擁護するために活動している。その活動が
  わが国社会一般の利益のために行われていないことは言うまでもない」とし、
  「市長が特に必要と認める固定資産」には当たらないと結論づけたのです。

  裁判所が作る判決文に「北朝鮮」なる国名が登場することがまず問題とされ
  るべきですが、この裁判が「北朝鮮」国家そのものの是非を争う裁判でない
  ことはもちろんのこと、「総連」とは在日本朝鮮人総聯合会のことを差すと
  思われますが、「総連」が北朝鮮の国益や在日朝鮮人の「私的利益」を擁護
  する活動を行っており、それが日本社会一般の利益と対立するという一方的
  な結論の導き方はまさに北朝鮮バッシングを行う週刊誌以下的な認識を示す
  ものです。金末幸委員長は「会館活動に公共性がないと言うことは私たちに
  死ねと言うことと同じだ」と言われましたが、まさにそれほどひどい内容を
  含んでいます。朝鮮総連がこれまで日朝友好親善に果たしてきた役割の評価、
  在日朝鮮人の存在にたいする歴史的な認識も欠落し、ピョンヤン共同宣言の
  実現に向けてともに進むべきパートナーであるという対象ではなく、まさに
  「北朝鮮」の指導のもと日本の国益に逆らう活動を行う違法な存在であると
  いう描き方をしています。これは悪辣な政治的判断にほかなりません。外国
  人排斥という最悪の排外主義を助長し、国際人権規約にも抵触する内容と言
  わざるを得ません。

 しかしこの判決の持つ法的拘束力は単に朝鮮総連傘下の在日朝鮮人だけに限
 定されたものではありません。最も近い存在として韓国民団の「韓国会館」
 があります。私は朝鮮会館だけでなく韓国会館にも良く伺いますが、活動内
 容はほぼ朝鮮会館の場合と同じといえます。もしこの判決が確定すれば、朝
 鮮会館と同じように韓国会館も固定資産税の減免措置は受けられなくなるの
 です。その他日本国内で民族的な活動のためにたてられた在日外国人のため
 の「公民館類似施設」のほとんどがこの判決の影響を受けることになります。
 韓国民団の関係者からもすぐに私のところへ電話で「日本の社会が怖くなり
 ました」という大変厳しい認識が示されました。私たちはこの言葉をとても
 重く受け止めなくてはいけません。

  そこでこれからのことでみなさんにお願いがあります。今後最高裁へ上告す
  るのかどうかが問題となりますが、「救う会熊本」と熊本市長の間での訴訟
  ですので、熊本市長が上告するか否かにかかります。幸山政史市長は監査委
  員会の勧告を拒否して非課税を継続したいきさつもあり、簡単にこの判決を
  受け入れるとは思われませんが、右翼の街宣車が毎日市役所周辺を動き回っ
  ているという情報もあります。

 この問題を憂慮する全国のみなさんから幸山政史熊本市長宛に、不当な判決
 を許さず上告して闘ってくれるように励ましのメッセージをメールやFAX
 で伝えていただけないでしょうか。上告審の重要な意義、アドバイスなどお
 書きいただければ幸いです。また福岡高裁中山裁判長への抗議のメッセージ
 もお願いします。
 熊本では今週中に仲間たちと市長に申し入れに参ります。

熊本市長宛のメールは熊本市役所秘書課宛に hisho at city.kumamoto.lg.jp
            FAX    096−351−2180
福岡高裁中山弘幸裁判長への抗議は福岡高裁民事第5部まで
             FAX  092−781−3183

※転送大歓迎です
                 熊本朝鮮会館問題を考える市民の会   田中信幸
                 TEL096-366-0444, FAX096-363-5402 携帯090-3010-0279
         tanaka5 at h5.dion.ne.JP




AML メーリングリストの案内