医師に無罪判決が出たこの裁判では、産婦人科の学会に限らず、医療界全体が加藤医師の逮捕・起訴に強く反発。その抗議は100団体近くに及ぶなど、医療過誤裁判史上に残る出来事となりました。なぜそこまで反発したのでしょうか。
その理由の1つとして、通常の医療が行われたにもかかわらず、患者が死亡したという結果だけで医師が刑事責任を問われるようなことになるならば、医療全体が萎縮してしまうという強い危機感があったためです。
今回、裁判所は、「刑罰の基準は、ほとんどの医師が医療措置として行っていると言える程度の一般性のあるものでなければならない」として、医療界の混乱を防ぐためにも、初めての指針が示された点は大きく評価できると言えます。
しかし、『医療への不信』がこれで消えたわけではなく、今後、医療現場で起こったミスなどにどのように対処するのか、古くて新しい課題を医療側にも突きつけられた形となりました。(20日18:00)