【ワシントン小松健一】グルジア南オセチア自治州での戦闘をめぐり、米政府がグルジア政府に「ロシアと戦えば勝ち目はない」と再三にわたり自制を促したが、グルジア側がそれを振り切って南オセチアに軍を進めたことが19日、分かった。ブライザ米国務副次官補(欧州・ユーラシア担当)が記者会見で明らかにした。
ブライザ副次官補によると、今月に入ってグルジアからの分離独立を求める南オセチアの部隊が砲撃を繰り返していたため、グルジア政府が「村や人々を守るため停戦を解除せざるを得ない」と米側に通告してきた。
これに対して、ロシア軍の介入を恐れていた米政府は「ロシアとの対決は避けるべきだ。ロシアは戦車を即座に動員できる。戦車を阻止できたとしても空爆を受ける。勝ち目はない」と説得したが、グルジア側は部隊を進軍させ、ロシアの大規模な軍事介入が始まったという。ブライザ副次官補は「想定していた事態が起きてしまった」と語った。
毎日新聞 2008年8月20日 11時20分