ミュージカル「エリザベート」
涼風真世、朝海ひかるのダブルキャスト 8月3日から28日 中日劇場
【社会】医療事故究明へ中立機関を 関係者、現場の改善期待2008年8月20日 17時30分 医師の刑事責任が問われた福島県立大野病院事件は、異例の立件が萎縮(いしゅく)医療を招き、医療崩壊を加速させたとされる。無罪判決に東海地方の医療界にも安堵(あんど)感が広がった一方、医療事故の遺族らからは捜査機関が介入しない真相究明の仕組みづくりを求める意見が上がった。 名古屋市内の病院で産婦人科部長を務める細井延行さん(60)は「遺族にはお気の毒なケースだったが、現場の立場からは判決に正直ほっとしている」と話した。その上で「お産にはどれだけ手を尽くしても避けられない危険性が残る。お産の安全性を高めるために医師を増やし、過酷な勤務を強いられている現場の環境改善が必要だ」と訴えた。 愛知県産婦人科医会会長の可世木成明さん(66)は「当然の結果。一生懸命、医療行為をした医師を逮捕するのは不当で、警察、検察は反省し控訴しないでほしい」と要望。「判決が産婦人科の休診や医師離れの転機になってくれれば」と語った。 医療過誤で22年間寝たきりとなった長男が2年前に43歳で亡くなった稲垣克巳さん(79)=愛知県春日井市=は「無罪は妥当。捜査機関が介入したことで真実の究明や再発防止にマイナスとなった。医療の萎縮につながるとの医療界の反応も理解できる」と説明。一方で医療界は封鎖的な体質を改めるべきだと注文し、第三者機関による医療事故の調査体制の整備を求めた。 弁護士として医療過誤訴訟を数多く担当し、被害者の立場から再発防止を目指す医療事故情報センター(名古屋市東区)の柴田義朗理事長(48)も第三者調査機関の設置を主張。「犯罪事実の証明責任が必要な刑事手続きでは追及に限界があることが明らかになった。だが、医療事故で医師らに一律刑事免責を認めるような方向づけは被害者救済の立場からも認められない。そのためにも公正中立な機関が必要」と話した。 (中日新聞)
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