福島県立大野病院事件で産婦人科医を無罪とした20日の福島地裁判決。医師会報で産婦人科医の逮捕について現場の声を中心に特集記事を掲載するなど問題点を指摘してきた福岡県医師会にも「妥当な判決」と安堵(あんど)の声が広がった。
横倉義武会長は「地域医療を守るという立場から無罪判決に安心した」と話した。今回の事件がもたらした影響については「医療行為には不確実性があり、予期しないことが起きうる。正当な医療行為をしたのに力が及ばなかった場合に刑事責任を問うということになると現場を萎縮(いしゅく)させる。実際に今回の事件は地域医療に深刻な混乱をもたらした」と指摘。人為的なミスなのかどうかの判断については「専門家でないと難しい」とし、第三者の立場で死因を究明する「医療安全調査委員会」設置の議論を急ぐ必要性を訴えた。
全国約1万2000人の産婦人科医でつくる「日本産婦人科医会」(寺尾俊彦会長、東京)は20日、大野病院事件の無罪判決を受け「正当な医療行為をしたが力が及ばなかった不幸な事例であり、当然の結果だ」との声明を発表した。
=2008/08/20付 西日本新聞夕刊=