加藤被告に無罪 大野病院事件 福島地裁判決福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を続けた判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の判決公判が20日午前10時すぎ、福島地裁で始まった。鈴木信行裁判長は業務上過失致死、医師法違反のいずれについても無罪を言い渡した。検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑していた。事件は、逮捕時から医療界が「不当な捜査介入だ」と猛反発し、注目を集めてきた。福島地裁には朝早くから医療関係者ら788人が傍聴券を求めて詰め掛けた。判決言い渡しは昼休みを経て午後まで続く。 最大の争点は、癒着胎盤の剥離を続けた判断の正否。これまでの公判で検察側は「命に危険が及ぶ状況に至っても漫然と剥離を続けた」と過失を指摘。弁護側は「いったん剥離を始めたら最後まで続けるのが妥当だ」などと反論した。 大量出血の予見可能性では、検察側が「被告は手術前、子宮摘出の可能性も考えており、十分予見できた」としたのに対し、弁護側は「慎重な処置を繰り返しており、予見はできなかった」と主張した。 加藤被告は「異状死」を警察に届け出なかったとして医師法違反にも問われた。
2008年08月20日水曜日
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