【イゴエティ(グルジア中部)=土佐茂生、モスクワ=星井麻紀】ロシア軍は19日、侵攻したグルジア中部の都市ゴリから撤退作業を始めた模様だ。AP通信などがゴリ市内からの目撃情報として伝えた。事実なら、同軍が今月11日に南オセチア自治州境界を越えて侵攻して以来、同州以外から初の撤退となる。
AP通信によると19日午後、ロケット発射装置などの兵器を積んだロシア軍の車列がゴリ北方の南オセチア自治州に向かったという。首都トビリシから西45キロのイゴエティでは、首都方向に展開していたとみられる戦車7台がゴリに戻るのを朝日新聞記者が目撃した。ロシア軍は18日に撤退開始を発表したが、動きは確認されていなかった。
同軍のノゴビツィン参謀次長は19日の会見で「ロシアは6原則(和平合意文書)の義務を果たしていると明確に言うことができる」と述べた。
しかし、グルジア内務省のウティアシュビリ報道官は朝日新聞に「ゴリの主要部隊は撤退の動きを見せていない。引き揚げるかのような車両の動きは見せかけだ」と述べた。グルジア側は同日、ロシア軍が黒海沿岸の港湾都市ポチでグルジア人警察官20人を拘束したと批判した。
この日は、ロシアとグルジアによる捕虜交換が行われた。ロシアから15人、グルジアからは5人の軍人が双方の代表者に引き渡された。