福田康夫首相が臨時国会の召集時期について9月中旬とする意向を表明した。臨時国会の主要なテーマはインド洋給油法の延長と総合経済対策を具体化する補正予算になるが、いずれも与党内の調整がまだついておらず、会期幅も決められない状況である。衆院解散・総選挙の思惑も絡んで臨時国会は緊迫した展開が避けられそうにない。
首相は当初、インド洋給油法の延長に必要な会期を確保するため、衆院再議決も想定して臨時国会を前倒しして8月下旬に召集することを模索した。しかし、公明党が衆院再議決を前提とすることに難色を示し、臨時国会の召集時期を9月下旬とするよう求めていたため、与党内の調整が続いていた。
9月中旬召集は首相が公明党に一定の配慮をした結果である。しかし、これによってインド洋給油法延長問題の先行きはますます不透明になってきた。民主党など野党は給油法延長反対の姿勢を崩しておらず、同法は参院で否決、ないしは、たなざらしになる可能性が大きい。
与党が会期を延長して衆院で3分の2の多数により再議決しようとしても公明党が同調しなければ、再議決も難しい状況である。給油法延長が不成立となれば、福田政権は深刻な窮地に陥るだろう。
わたしたちはテロとの戦いへの日本の国際貢献として、インド洋の給油活動は継続すべきであり、給油法延長は与党の責務であると考える。政権交代をめざす民主党は給油法延長に反対するなら、国際貢献の代案を提示する責任がある。
テロとの戦いの最前線であるパキスタンではムシャラフ大統領が辞任し、政治情勢は流動的である。そうした事態も踏まえて臨時国会では与野党が議論を尽くし、日本にふさわしい国際貢献策について一定の結論を出すことが望ましい。与野党の話し合いがつかなければ、衆院を解散して民意を問うくらいの覚悟が政府与党には必要だろう。
総合経済対策の内容についても与党内の調整はこれからである。自民党内や公明党内には、思い切った景気対策を打つべきだとして大型補正予算の編成を求める声が強い。景気の後退局面で政府が無策であってはならないが、かつてのばらまき政策の復活には賛成できない。
国債を財源にしてばらまき的な大型補正予算を編成することは、小泉政権以来の構造改革・財政改革路線からの転換を意味する。そのような政策転換を行うなら、これも民意を問うべきテーマになりうる。