南オセチアをめぐるグルジアとの軍事衝突をきっかけに、ロシアはグルジアから独立を目指す地域について、外交方針を大きく転換させました。
メドベージェフ大統領は15日、国際社会に向かってこう問いかけました。
「(こんな状況で)オセアチア人とアブハジア人が、グルジア人と同じ国で生きていけるはずがない」(ロシア・メドベージェフ大統領)
ラブロフ外務大臣も14日、ラジオに出演し「今回の戦争によって、グルジアの領土保全は事実上限定される」と言い切りました。
これまで、南オセチア、アブハジアとグルジアで仲介役を務めてきたロシアですが、軍事制圧を試みたグルジアの主権を「もはや認めない」と宣言したといえます。当然、グルジアを軍事支援してきたアメリカは、これに強く反発しています。
「(南オセチアとアブハジアは)グルジアの一部であり続けるべきだと、国際社会は立場を繰り返し表明している」(ブッシュ大統領)
グルジアから厳しい差別化政策を押し付けられてきた南オセチアとアブハジアは、その反動から、ロシアへの傾斜を強めていました。
「今までもこれからも、アブハジアはロシアなしで安全に生きていくことはできない」(アブハジアの住民)
今、市場にあふれる商品はすべてロシアから運ばれています。国際社会はグルジアを後押しするなかで、ロシアの支援によって生きながらえてきた、というのが住民の率直な思いです。ロシアは今後、2つの地域の保護領化を公然と進めるとみられ、真の和平への道のりは極めて遠いといえます。(19日09:46)