男女とも育児休業の取得が増えている。厚生労働省の二〇〇七年度の雇用均等基本調査で分かった。発表によると、前年度に出産した女性の育休取得率は89・7%に上った。二年前の前回調査より17・4ポイントも増えた。男性の取得率も1・56%と、約三倍となった。
調査は、昨年の十月、常用労働者を五人以上雇っている約一万事業所を対象に実施した。回答率は61・5%だった。
育休が取りやすい職場環境になってきたのだろうが、男性の場合は依然として低い水準だ。取得率が高い女性の場合も課題がある。事業所の規模が小さいほど取得率が低い。五百人以上の事業所は94・0%だが、二十九―五人は65・3%である。
政府は育休取得率を女性の場合、一二年に80%とする目標を掲げる。中小・零細事業所の実態をみれば、すでに達成したと安心はできない。男性の目標取得率は一二年に5%、一七年に10%としているが、このままでは実現できそうにない。
男性の育休取得が進まないのは「仕事も育児も」ではなく「男は仕事、女は育児」という考えが根強いからだろう。政府は働き方を見直し、仕事と家庭生活の調和を図るワークライフバランスの浸透を目指している。仕事をしながら産み育てやすい環境整備のために、ワークライフバランスの実現を少子化対策の最優先課題ともする。
だが、内閣府が今年六月に実施した世論調査では、「ワークライフバランス」という言葉について「名前も内容も知っている」はわずか9・8%にすぎなかった。認知度は低い。
対策の強化が必要だ。同時に、私たちも仕事と生活の調和は人生の質を高めるために重要であることを認識し、前向きに取り組むことが大切だろう。