開催中の北京五輪で北島康介選手が11日、百メートル平泳ぎで金メダルをとった。代表選手がメダルを取るたび、日本中が歓喜の渦に包まれている。夏の風物詩となった甲子園も、今年ばかりは隅に追いやられているかのようだ。
そんな華やかな舞台の影で、在日チベット人や日本人僧侶らが8日に都内で開いたキャンドル集会を取材した。チベット問題の平和的解決を願う催しだった。
参加したチベット人によると、中国政府による宗教弾圧や人権侵害は激しさを極めているという。「チベットの文化、民族すべてを破壊しようとしている」とまで語った。取材するまでチベット問題をほとんど知らず、衝撃的だった。「知らないことは時に犯罪に匹敵することもある」との僧侶の言葉も耳に残った。
新疆ウイグル自治区では今もテロが続き、多数の死傷者が出ている。代表選手の活躍と、テロがこれ以上広がらないことを祈りつつ、まずはチベット問題に関する本を手にしようと思っている。【山本太一】
毎日新聞 2008年8月12日 地方版