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【社説】「投資増加率ゼロ」 韓国経済の未来 とは

 韓国銀行が発表したところによると、今年に入ってから6月末時点までの韓国国内での投資総額は、昨年同期に比べてわずか0.5%の増加にとどまったという。これでは昨年とほぼ同じ、つまり増加率はゼロに等しい。具体的な数値を見ると、2007年上半期の韓国国内における投資総額はおよそ105兆8000億ウォン(約11兆1600億円)だったが、08年上半期はわずか4000億ウォン(約420億円)増の106兆2000億ウォン(約11兆2000億円)にとどまっていた。

 経済成長の指標である国内総生産(GDP)は大きく消費と投資、政府による財政支出などで構成される。韓国経済は現在、世界経済の不振と国内の景気悪化により民間での消費が活性化する兆しが見えない状況にある。政府としても、原材料価格の高騰やこれに伴う一部生活必需品価格の高騰によるインフレリスクが顕在化する中で、公共企業のリストラなども行って支出を抑えたいところだ。このような中での唯一の希望は投資しかない。ところがこれさえも増加率がゼロになったというのだから、経済成長を支える三つの柱がすべて力を失ったと言わざるを得ない。

 80年代まで毎年12%を記録してきた投資増加率は、金泳三(キム・ヨンサム)政権の時代には平均で7.9%増にとどまり、金大中(キム・デジュン)-盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の10年では平均でわずか2%増だった。過去10年で投資が不振を極めたのは、アジア通貨危機の影響で企業の投資パターンが変わったという点もあるが、基本的には反企業情緒や分配優先政策などの影響も大きかったと言わざるを得ない。問題は企業フレンドリー政策と成長優先を掲げる李明博(イ・ミョンバク)政権の時代に入っても、投資が回復する兆しが見えないという点だ。政府は世界経済と建設景気の不振が原因だと説明しているが、実際は政府の政策そのものも明確な方向性を提示できていない。そのため企業としても投資を行うにはリスクが大きく、規制緩和もやはり口だけで実際には何も行われていないと指摘せざるを得ない。

 日本は1981年に一人当たり国民所得1万ドル(現在のレートで約110万円、以下同じ)を突破してから毎年8.8%ずつ投資額を増やした結果、わずか6年で2万ドル(約220万円)時代に入った。シンガポールは1万ドルを突破した87年以降、年間10.8%ずつ投資を増やし、5年後には2万ドルにまで達した。

 李大統領は15日、光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)に際しての談話で「グリーン成長」という言葉を使った。環境に優しい経済成長を推進するという意味だ。しかし今のような投資の状況では成長の色は問題ではない。成長そのものが蜃気楼(しんきろう)のように消え去ってしまわないよう注意を払うべきだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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