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若者の貧困 重圧にあえぐ声に耳を傾けて

[掲載]2008年6月29日

  • [評者]浜田奈美

 政府の経済財政諮問会議は4月、今後3年間でフリーターなどの若者100万人を正社員化するとの数値目標を発表した。国がこれを実現するまで、声をあげ続けることが重要である。

 『軋(きし)む社会』では、家族・仕事・教育の三つの領域の関係性に90年代ごろから軋みが生じ、公的福祉が手薄な若者にその重圧がいかにのしかかっているのか、という点について、教育社会学者の著者が客観的なデータを駆使して解説する。そして「軋みの音」に耳を傾け、目をそらすことのないように、と呼び掛ける。『フリーター論争2.0』は、『生きさせろ!』の雨宮処凛、『無能力批評』の杉田俊介ら、社会への怒りに立ち上がったロスジェネ世代の表現者たちの対談集。どの発言も「現在の労働=生存運動を、新しい局面へと押し上げ」ようという気迫に満ちている。

 「自己責任論」を固持する人には『生活保護vsワーキングプア』をご一読願いたい。著者は生活保護の現場にかかわる中で、受給の線引きの難しさと、受給者たちの不遇な人生に直面してきた。特に「第5章 若者が生活保護を受ける」は必読。難しい成育環境やうつ病などから貧困の沼地に陥っていく様を、本人談を交えて子細に紹介する。後書きで触れる少年の話まで、深く考えさせられる一冊だ。

 一方で、若者が「選択」したケースがあるのも事実である。『若者はなぜ正社員になれないのか』は、有名大学の修士課程修了後、「浅薄さ」から就職せずに2年間を過ごした著者の、就職活動戦線記。大苦戦しながら自己改善を重ね、「正社員」という目標に近づいていくが、著者の“結論”は……。自己探求に貪欲(どんよく)な今という時代によくも悪くも影響された、若者の無意識が見え隠れする。

表紙画像

生きさせろ! 難民化する若者たち

著者:雨宮 処凛

出版社:太田出版   価格:¥ 1,365

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無能力批評―労働と生存のエチカ

著者:杉田 俊介

出版社:大月書店   価格:¥ 2,310

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