◎集中豪雨が頻発 「都市こそ危険」の認識重要
「想定外」の豪雨で、能登地区や富山県内にまた床上・床下浸水、道路冠水などの深刻
な被害が出た。特に都市部では、排水能力を超えたとたん水があふれ、逃げ場がないために、あっという間に水没地域が広がってしまう。吸水性に乏しいコンクリートに覆われた都市部は、いわゆるゲリラ豪雨のリスクが他の地域以上に高い。集中豪雨は「都市こそ危険」の認識が必要だ。
先月の浅野川水害では、上流の湯涌地区で一時間に一三八ミリという途方もない豪雨が
観測された。今回も七尾市灘浦で一時間に一二〇ミリ、富山市では五二ミリ、高岡市では四一ミリを記録し、十五日午後十一時から十六日午後六時までの雨量は七尾市で一七八ミリに達した。これまでの常識をあっさり覆してしまうほどの豪雨である。
地球温暖化による異常気象のせいなのか、集中豪雨の被害は海抜ゼロメートル地帯や山
間地、古くからはんらんを繰り返してきた河川沿いばかりではなくなっている。むしろ、先の浅野川水害や今回、富山市の中心部が冠水した例を見ても、コンクリートで固められた都市部が水害にもろい。以前から豪雨や台風ですぐに水がつくような地域は水害の恐ろしさをよく知っていて、住民も警戒を怠ることはまずないが、都市住民の多くは、水害など予想だにしていないせいもある。
二〇〇〇年九月、名古屋市などを襲った東海豪雨では、河川のはんらんであふれ出た水
が行き場を失い、多くの住宅や店舗が水没した。想定外の豪雨により、市街地の雨水を河川に排出するポンプが機能停止したことが被害を大きくした原因だが、雨水の流入が短時間で急増すると、ポンプの能力を超え、下水から水があふれる現象は各地で起きている。
昨年は金沢市の浅野川ポンプ施設が大雨のため冠水し、同じように機能停止に追い込ま
れた。もし、東海豪雨のときのように、記録的な豪雨に見舞われていたら、香林坊、武蔵、金沢駅周辺などが浸水していた可能性もあったのである。排水ポンプに頼らざるを得ない都市部の弱点をよく理解し、対策を練っておきたい。
◎冷凍ギョーザ事件 事実重視で真相解明を
訪中した高村正彦外相が中国の楊潔チ外相らの要人と会談し、懸案の中国製冷凍ギョー
ザ中毒事件の全容解明に向け、両国の捜査当局を早期に接触させ、協力態勢を強化していくことで一致した。
日中双方の利益のために形だけの協力ではなく、事実重視の協力で解明してほしい。
冷凍ギョーザ事件は今年二月、中国公安省が日本側の捜査結果を否定する一方的な見解
を記者会見で公表したため、日本人に中国不信を植え付けた。中国側に重く受け止めてもらいたいことだ。
が、その後、北京五輪の約一週間前に中国側が外交ルートで中国国内でも同じ天洋食品
製による同様の中毒事件が起きたと知らせてきた。これによって、見解の相違で行き詰まっていた状態の打開が期待できるかもしれないと、日本側の空気が微妙に変化し始めた矢先である。
日本側が突き止めた混入毒物の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」と、中国側が突き止
めたそれを突き合わせて調べてほしい。
それだけでなく、日本側の実験による鑑定ではメタミドホスは冷凍ギョーザを入れた袋
の外側から内部へ浸透しないという結果が出ている。こうした点についても同様の実験を中国側も行って確かめてほしいものだ。
中国側は、どのような捜査をしたのかを詳細に公表することなく、袋の外側から内部へ
浸透する可能性が否定できないとして、中国国内での混入を否定したのである。日本側の捜査結果を無視せず、それくらいのことはきちっと行うのがまともな捜査だからだ。
この事件では、日本の政府が、中国国内でも同様の中毒事件が起きたとの連絡が中国か
らあったことを公表しなかった。情報がメディアに漏れて公表せざるを得なくなり、中国の政府から捜査段階だから公表しないでほしいとの申し入れがあったからだと苦しい弁明をした。
すぐ公表しない場合はあり得ることだが、後からどう対応したかを納得のいく説明をす
る課題が残ったのではないか。