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二十一世紀歌舞伎組:「新・水滸伝」上演 林冲を演じる市川右近

 市川猿之助門下で組織する「二十一世紀歌舞伎組」が18日から東京のル・テアトル銀座で、中国の古典に題材を取った「新・水滸伝(すいこでん)」(猿之助演出・美術原案、横内謙介脚本・演出)を上演する。主人公の林冲(りんちゅう)を演じる市川右近に新作にかける思いを聞いた。【小玉祥子】

 ◇原点思い起こす「体制に挑む姿」次世代に伝えたい

 「水滸伝」は宋の時代、梁山泊(りょうざんぱく)にこもる豪傑たちの活躍を描いた作品。右近は「原作からキャラクターをいただき、自由な発想で作っています」。

 林冲は剣術師範をつとめる軍人だったが、皇帝への謀反の疑いをかけられ、捕縛された。その後、脱獄して梁山泊で酒浸りの日を送る。そこへ朝廷軍が都から進軍してきたという知らせが入る。

 「自分自身を見失い、ぬけがらのようになっていた林冲は、梁山泊のアウトローたちの生きざまに勇気づけられ、情熱をよみがえらせていきます」

 猿之助が「20世紀バレエ団」にちなんで命名した「歌舞伎組」の結成は1989年。右近は25歳だった。

 「歌舞伎を愛する門閥外の人間の集まり。当時はある意味、アウトサイダー的な存在でした。梁山泊の人たちが一丸となって体制に挑む姿にも重なる。原点を思い起こして取り組んでいきたい」

 結成から20年近い歳月が流れ、スーパー歌舞伎から古典までメンバーの活躍の場も広がった。これが「歌舞伎組」としては10年ぶりの新作になる。

 「師匠(猿之助)が作ってきたものを終わらせるわけにはいきません。今度は僕らが次の世代に伝えていかないと」。舞台は幕間なしのスピーディーな展開になる予定だ。

 市川笑也、市川笑三郎、市川春猿、市川猿弥、市川弘太郎、金田龍之介らの出演。31日まで。問い合わせは03・3477・5858へ。

毎日新聞 2008年8月18日 東京夕刊

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