大野病院事件が結審、8月20日に判決
福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、加藤克彦被告(40)の最終弁論が5月16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、弁護側が無罪を主張して結審した。判決は8月20日。
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起訴状によると、加藤被告は同年12月17日、女性=当時(29)=の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。子宮に癒着している胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるにもかかわらず、子宮摘出術に移行するなど危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させた。また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われた。
検察側は3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑している。
最終弁論で弁護側は、臨床の実践にはそのような施術例は一例もなく、胎盤の剥離を中止することは「非現実的な処置」などと反論し、改めて無罪を主張した。また、医師法21条に基づく届け出について、▽死体に客観的な異状が認められない▽被告の医療行為にも過失が認められない―ことなどから、届け出の対象に該当しないと主張。医師法違反についても無罪を求めた。
弁護側はまた、産科医の減少や相次ぐ産科の閉鎖、委縮医療による弊害など、この事件が「わが国の医療界全体に大きな衝撃を与えた」と指摘。こうした事態が生じたのは「検察官が公訴事実で、臨床医学の実践における医療水準に反する注意義務を医師である被告人に課したからにほかならない」とした。
最終弁論後の意見陳述で加藤被告は、「できる限りのことは一生懸命行いました。精一杯できるだけのことを行いましたが、悪い結果になり、一医師として非常に悲しく、悔しい思いをしております。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております」などと述べた。
更新:2008/05/16 00:19 キャリアブレイン
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